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行政と住民、慶大生が連携
わなに出資制度、獣害防ぐ 小田原市でオーナー制度実験

社会 神奈川新聞  2019年02月10日 02:43

菅田さんら慶大生の実証実験を支える自治会長の鈴木さん
菅田さんら慶大生の実証実験を支える自治会長の鈴木さん

 イノシシなどが畑を荒らす獣害への新たな対策として、捕獲用わなの設置に出資してもらう「わなオーナー制度」の実証実験が、小田原市の石橋地区で始まった。市と地域住民、慶応大が連携して実施し、獣害悪化による農家の減少、耕作放棄地の増加という悪循環を地域ぐるみで解消する狙い。慶大生の1人は神社の社務所に寝泊まりして研究を続ける気合の入りようで、高齢化が進む地域で世代を超えた交流も生まれている。

 環境省のモデル事業として市は2016年度から「森里川海インキュベーション(起業支援)事業・寄気(よせぎ)」を展開。地域課題の解決を継続的に行う経済的な仕組みづくりを六つの大学と共同研究しており、わなオーナー制度はその一つ。

 同市の獣害は増加傾向で、市全体の農作物被害額は年間2900万円(14年度)。相模湾に面し、丘陵地にミカン畑が広がる石橋地区(77世帯)は被害が深刻なエリアだ。多くがかんきつ類の農家で、ミカンや湘南ゴールド、ポンカンなどを一年を通じ栽培。近年はサルやタヌキ、イノシシによる食害が相次いで発生し、農家を悩ませている。

 実証実験は狩猟可能な3カ月(昨年11月15日~今年2月15日)に実施。1カ月4千円の出資で、オーナーはわなの見回りに同行したり、動物が捕獲された場合は解体などに立ち会えたりする仕組みだ。出資金はわなの費用に充てるが、農作物の収穫も体験できる。

 慶応大は環境情報学部のゼミに所属する学生が参加し、その1人で4年生の菅田(すがた)悠介さん(23)が、わなの狩猟免許を取得した。餌でケージ内におびき寄せる「箱わな」や、踏むとワイヤが脚を捕捉する「くくりわな」を計9カ所に設置。

 菅田さんは実験のため、昨年10月から同地区にある子之(ねの)神社の社務所に移り住み、農家の人と交流し、猟友会にも弟子入りしながら道具の研究やわなの見回りを毎日続けている。大学は一時休学し、今年3月の卒業予定を半年遅らせてまで取り組む覚悟だ。

 ミカン園を営む地元自治会長の鈴木裕章さん(70)は「この地区は高齢化率が市内で一番高い。若い人たちとの交流で、いい刺激になっているし、(農作業などを)手伝ってもらって助かっている」と笑みを浮かべる。

LINE活用、出没情報をリアルタイムで


 鈴木さんによると、耕作放棄地の増加に伴い、サルやイノシシが目立つようになったのはこの10年ほど。イノシシは食べる量が多く、サルは簡単に柵を乗り越えるなど、打つ手はなかった。地域住民も諦めていたところに今回のモデル地区の話が舞い込んだ。さらに無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使い、サルなどの出没情報を県や市、他地区の人たちとリアルタイムに共有する仕組みをつくってもらい、

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