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被災地の教訓次世代に 支援活動に尽力する男性 鎌倉

社会 神奈川新聞  2019年02月08日 07:59

全国の被災地で支援活動し、その経験を地元に伝えている大津さん=鎌倉市大船
全国の被災地で支援活動し、その経験を地元に伝えている大津さん=鎌倉市大船

「人の生き死に、ちょっとのことで決まってしまう」


 自然災害に見舞われた全国の自治体を飛び回る男性が鎌倉市内にいる。支援活動に汗を流すだけでなく、現地で見聞きした教訓を地元に伝えるため、講演活動にも力を入れている。その原点は生まれ育った被爆地・広島の存在。「伝え継ぐことで、命を守る行動につながれば」との思いを胸に抱いている。

 男性は同市大船に住む大津定博さん(56)。会社員の傍ら、防犯・防災ボランティア団体「鎌倉ガーディアンズ」の代表も務めている。

 きっかけは東日本大震災だった。テレビに映し出される被災地の惨状に、言葉を失った。「この目で現地を知りたい」。3カ月後、宮城県多賀城市に向かった。

 避難所の喫煙所で同世代の男性に何げなく声を掛けた。「津波に流され、つないでいた手を離し、母は亡くなった。そんな人ばっかりだ」。淡々と話す横顔に深い悲しみを見た。男性や被災者と出会い、「つらさや悲しみを繰り返さないよう、次世代に伝えたいと思った」。

 その思いの根底にあるのは広島だ。大津さんの父・正記さん(89)は1945年、爆心地から約2キロの場所で被爆。親兄弟9人も失った。父は毎年8月6日、幼い大津さんを平和記念公園に連れて行ったが、自身の体験を語ろうとはしなかった。そんな父が長女から夏休みの宿題で原爆投下後の様子を聞かれて話すうち、突然涙を流した。広島や被災地を通し、「人の生き死には、ほんのちょっとのことで決まってしまうと改めて痛感した」と大津さん。「だからこそ命の大切さを知り、自分ができることを考えるきっかけにもしてほしいと思った」

 以降、関東・東北豪雨や熊本地震、西日本豪雨といった被災地に飛び、土砂撤去や避難所運営などの支援活動に従事。東日本大震災の実情を知り、教訓を学ぶため、自身の団体主催で宮城県内を巡るツアーも行った。

 地元では、同じ海沿いの自治体の住民に災害への意識を高めてもらおうと、防災教室を開催。「倒れた家具や食器でけがをした。しっかり固定しておけばよかった」「避難指示が出たらすぐ、逃げればよかった」といった被災者の声や、地域が抱える災害リスクを伝えている。

 大津さんは「災害はいつ起きるか分からない。意識が変われば、行動につながる。災害を伝え、防災につなげられたら」と話した。


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