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第1部 「萎縮社会」に抗う(5)
〈平成の正体〉黙らず声を上げ続ける 戦争責任への「攻撃」

時代の正体 神奈川新聞  2019年02月07日 01:29

名指しで勤務先の校門近くに張り出された中傷ビラ。「あなたは本当に日本人ですか?」などと記されていた
名指しで勤務先の校門近くに張り出された中傷ビラ。「あなたは本当に日本人ですか?」などと記されていた

時代の正体取材班=齊藤 大起】「先生、頑張ってね」。手を握って励ましてくれた女子生徒の手のぬくもりを、元高校教諭の吉池俊子さん(73)は今も覚えている。自身を中傷するビラが送り付けられた直後のことだ。

 2001年4月上旬、入学式の朝。社会科教諭として勤務していた横浜市内の私立高校の校門近くで、数人の同僚が電柱を取り巻いているのが見えた。「こんな物がくくり付けられていたんです」。今も自宅で保管しているA4判のビラ。段ボールの台紙に貼り付けて補強され、雨よけのポリ袋までかぶせられ、電柱に張られていた。

 そこに、こうあった。

〈日本が大嫌いな反日・左翼の吉池俊子教師にお子さんの教育を委ねて大丈夫ですか!〉

〈あなたのお子さんも、オウム真理教のように洗脳されるかもしれません〉

〈我が国の過去を歪曲(わいきょく)・捏造(ねつぞう)しそれを扇動する行為に熱心な教師が、皆様(みなさま)のお子さんに我が国の文化・伝統・歴史を正しく伝える教育ができるのでしょうか?〉

 吉池さんは当時から、日本の戦争責任を考える市民団体「アジア・フォーラム横浜」の代表として活動していた。

 第2次大戦下、日本が東南アジア各地で連合国と激戦を展開し、住民にも被害を及ぼした歴史を顧みるため、吉池さんは1994年に仲間と同フォーラムを結成した。以来、現地調査を地道に重ね、当時を知る人を東南アジアから招く「証言集会」を毎年12月に開催してきた。

 ビラは吉池さんらの活動に反感を抱く右翼団体の仕業とみられた。

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