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「多選」が問う
厚木市長選2019(上)変化 4選出馬に賛否両論

選挙 神奈川新聞  2019年02月06日 01:15

現職の小林常良氏。市議会でたびたび市長選への意向を問われたが、態度の保留が続いた=2018年6月、同市議会議場
現職の小林常良氏。市議会でたびたび市長選への意向を問われたが、態度の保留が続いた=2018年6月、同市議会議場

 「私がやってきたまちづくりでいいのか、後継者をどうするか、自己反省をしてきた。非常にジレンマがあるが、現職の責任を全うするしかないと考えた」

 厚木市長選告示まで2カ月余りとなった昨年12月5日、現在3期目の現職小林常良(69)は、神妙な面持ちを浮かべながら出馬理由をこう語った。

 2015年2月の前回、11年2月の前々回と、いずれも選挙前年の9月までに立候補の意向を表明してきた小林だったが、今回は明らかに葛藤の跡が見えた。陣営の関係者は「表明を難しくしたのは、条例の存在があったことは間違いない」と胸の内を代弁する。

 その条例とは、小林が初当選した07年の選挙戦で訴えた多選禁止を踏まえ、就任後の同年に市議会に提案して成立に至った「多選自粛条例」。市長の在任期数に関して「連続して3期を超えて在任しないよう努める」とする努力規定が盛り込まれている。

 12年前、4選を期した当時の現職に多選批判を繰り広げた小林。その矛先が自らに向くのが分かっていながら立候補を決めたことに、ある市議は3期12年の自負を見て取り、別の市議は歓迎の声を上げる。

 「市長は『現地対話主義』と言い、あっちこっちの現場に足を運んでいる。それが今につながり、結果が出てきている」「市は本厚木駅前の再開発や道路網整備などの大型の事業を抱えており、小林市政による継続が必要だ」

 市議らが言う「結果」は民間の調査結果にも現れている。全国の主要162市区を対象に、共働きで子育てしやすい街を調べた日本経済新聞社などのランキングで昨年、市は東京都千代田区と並んで全国3位に入った。0歳児の保育所への入りやすさや、全ての市立小学校に公設公営の学童保育が設置されていることなどが評価された。

 財政面でも1964年以降、国から普通交付税を受けない「不交付団体」を堅持。必要な歳出に対する収入の割合を示す財政力指数は県内19市で最も高く、人口15万人以上の類似自治体で全国2位を誇る。

 しかし、4千票余りの差をつけ、一騎打ちを制した前回の選挙戦と様相は明らかに異なっている。

 「本来、多選自粛条例に沿った形で進退は決められるべき。それでも出馬するなら、少なくとも条例を議会で破棄する動きを取るのが道理だ」。そう語気を強めるのは、市議会最大会派「あつぎみらい」の所属議員が多い自民党関係者だ。

 その自民は前回の市長選で、小林と、今回も立候補している元市議の石射正英(65)の2人に支部レベルで推薦を出していたが、今回は石射のみと態度を鮮明にした。

 党本部は知事選や政令市長選で推薦するのは「連続3期まで」の候補者に限ると要綱で定める。同党厚木市連合支部のある関係者は「(一般市の)厚木でもその考え方を準用した。多選自粛条例がある以上、推薦依頼を受けることはできない」と指摘する。

 昨年12月の出馬会見で小林はこう強調した。「3期を務め、多選の弊害があったかどうかの判断は有権者(に求める)しかない」 =敬称略
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 10日告示、17日投開票の厚木市長選が迫る。最大の争点となっている「多選」を巡る現状を伝える。


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