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杜氏らの夢 地元の米で日本酒を

話題 神奈川新聞  2017年06月27日 10:57

酒米「吟のさと」の田植えを行う地元農家ら=大井町高尾
酒米「吟のさと」の田植えを行う地元農家ら=大井町高尾

 日本酒の蔵元が2社ある大井町で、農家有志が休耕田を利用し、日本酒の原料となる酒米の栽培に取り組んでいる。農業振興や地域の活性化を願い、酒造会社と協力。今冬には、農家や杜氏(とうじ)らの夢を乗せた地元米による地酒が、初めて出荷される見込みだ。

年末にも初出荷


 酒米づくりに奮闘しているのは、地元農家の有志による「高尾棚田保存会」。高尾地区の棚田約5千平方メートルを地権者から無償で借り受け、酒米「吟のさと」を栽培している。

 保存会が結成されたのは、後継者不足や兼業農家の増加で雑草が生い茂るようになった棚田を、以前の姿に戻したいとの思いから。代表を務める藤澤憲吾さん(69)は「夏は青々とした苗が広がり、秋には黄金色の稲穂が垂れていた。10年ほど前は、季節を感じる美しい風景だった」と懐かしむ。

 仲間の農家に藤澤さんが声を掛けて昨年3月に発足し、1年目は食用米を試験的に栽培。2年目のことしは、町内での稲作の主が食用米で酒米が少ないことから「地元で採れた米を使って日本酒をつくりたい」と本格的に始動した。

 仕事を通じて知り合った蔵元「井上酒造」(同町上大井)の井上社長(67)に酒づくりを依頼。今月17日には酒米の苗を初めて植えた。

 「吟のさと」は、最高級の酒米として知られる「山田錦」と似て大粒で、同程度の品質があるのが特徴。しかも山田錦と違い、稲の背丈が低いために倒れにくく、収穫量が期待できるという。

 秋には2・1トンが収穫できる見込みで、井上酒造が醸造する。「香りはフルーティーで、酸味とうまみのバランスに優れた地酒に仕上がるだろう」と井上社長は期待する。年末に4合瓶(720ミリリットル)を約4千本出荷する予定だ。

 町は昨年11月、伝統産業を守るとともに消費の拡大を後押ししようと、地酒での乾杯を推進する条例を施行した。町地域振興課は「農家だけでなく、酒販店や飲食店も巻き込み、町全体の産業を元気づけてほしい」と話し、藤澤代表は「酒米づくりを通じて農業を復活させ、地域を盛り上げたい」と意気込んでいる。


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