1. ホーム
  2. カルチャー
  3. 将棋のはなし(92)100パーセント勝たせた

日本将棋連盟指導棋士五段、本紙将棋担当記者
将棋のはなし(92)100パーセント勝たせた

カルチャー 神奈川新聞  2019年01月29日 06:58

【2019年1月27日紙面掲載】

 囲碁界に史上最年少棋士が誕生する。現在小学4年の仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)が、4月1日付で日本棋院の初段となる。

 新設された「英才枠」での採用だと聞いて、基準が甘いのかと思ったが、そうではないようだ。実力は対戦した井山裕太五冠や張栩名人も手放しで絶賛。将来は国内だけでなく、世界戦での活躍も期待される。それにしても若いなあ。

 父は囲碁棋士の仲邑信也九段、母はアマ強豪の幸さん。そんな環境なので、囲碁を始めたのが3歳だと聞いても驚かない。しかし母の指導法には感心させられた。

 教える際、菫さんにひたすら負け続けたという。「100パーセント勝たせた。勝つと喜んでやる気になるので」

 将棋教室に初心者の子が来ると、私もしばらくは絶対に勝たない。これは基本中の基本である。ただ、他人だからできることだと考えていた。

 自分の子どもであれば、その愛情や心配からつい厳しくなることもあろう。腕に覚えのある親なら、なおさらではないか。なのに徹底して負け続けたというのは、素晴らしい教育だと思う。

 小学生の子を持つ周囲の記者からは「娘と将棋やるとつい勝っちゃう」「息子にまだオセロでは負けない」などという声が聞こえてくる。もちろんこちらの方が普通だ。

 余計なお世話だろうけど、興味を持たせたいのであればちょっと考えてほしい。わが子の隠れた才能に気づくチャンスかもしれませんよ。


シェアする