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70年目のルーキー(1) 上茶谷大河 己を信じ先輩追う

ベイスターズ 神奈川新聞  2019年01月28日 08:18

新人合同自主トレーニングで順調な調整ぶりをアピールする上茶谷=横須賀市長浦町のベイスターズ総合グラウンド
新人合同自主トレーニングで順調な調整ぶりをアピールする上茶谷=横須賀市長浦町のベイスターズ総合グラウンド

 球団創設70年目のリーグ優勝を目指すベイスターズに7人のルーキーが加わった。過去4年続けて、輝かしい成績を残した先輩たちに続けとばかりに意気込む即戦力から、次代を担う個性豊かな高校生まで逸材ぞろいだ。希望に満ちあふれた精鋭たちの横顔を紹介する。

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 上茶谷大河(22)は1学年先輩の言葉にはっとさせられた。10日夜、選手寮にほど近い横須賀市内の飲食店で、東克樹と食事をした時のことだ。

 「東さんのせいで(ドラフト1位の)ハードルが上がっています」

 本音を漏らした右腕に、昨季の新人王はこう言ったという。

 「それは代々受け継いでいるもの。まず1勝。1試合ずつ大事に投げることや」

 2015年は山崎康晃(亜大出身)が2勝37セーブで新人王を獲得。16年以降は今永昇太(駒大)の8勝、浜口遥大(神奈川大)の10勝、そして東(立命大)の11勝と、ドラフト1位の大卒先発投手が白星を積み増してきた。即戦力として高まる周囲の期待が、右肩にのしかかっていた。

 「2桁勝利を意識して先ばかり考えてしまうことがあった。一つ一つのことを地道にやっていかなあかんな」。上茶谷は意を新たにした。

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 東洋大では3年秋まで未勝利だったのがうそのように、昨春の東都大学リーグ戦で開花した。

 公式戦初先発となった中大戦で初完封を飾り、駒大戦では1試合20奪三振の新記録を樹立するなど、14試合のうち10試合で先発を務めて6勝をマーク。常時140キロ台後半の直球と制球力抜群の変化球を武器にチームを3連覇に導き、自身もMVPや最優秀投手など3冠。ドラフトの最上位候補に躍り出た。

 遅咲きの大器だ。中学時代は身長160センチの控え投手だった。京都学園高では急激に身長が伸び、成長過程で投げていた反動で2年秋に右肘を疲労骨折した。手術後に完治しないまま3年夏を迎え、エースとして投げ抜いたものの甲子園は遠かった。

 卒業後は関西の大学に進むつもりだったが、高校の監督の勧めで「頭になかった」という東洋大へ進学した。戦国東都と称される競争の激しいリーグでプレーすることになって、その後の野球人生が大きく変わった。

 「関東の大学自体知らなくて調べたらめちゃめちゃ強いと知って。そこから野球に対する意識が変わりました」。大学の同級生には剛腕の甲斐野央(ソフトバンク1位)、梅津晃大(中日2位)がいた。1年時に測った球速は梅津の144キロ、甲斐野の141キロに対して上茶谷は133キロ。「高校まで測ったことがなかったけど140キロは出てると思っていた。自分に腹が立ちましたね」

 2年冬に右指の血行障害になったが、投げられなかった1カ月間、初めて筋力トレーニングで下半身を鍛えた。

 3年秋にはフォーム改造に着手。弱点を見抜いた投手コーチのアドバイスを受けて自らを動画撮影しながら試行錯誤を繰り返したという。「ずっと球に伝える力がロスしていたけど原因が分からなかった。『右肘から上げろ』という小さい頃からの教えが癖になっていたんです」。大胆な修正に成功した翌4年春、スピードガン表示は150キロを超えていた。

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 愚直に努力を重ねて急成長を遂げた上茶谷は今、元チームメートとの勝負を心待ちにする。「梅津と甲斐野に球速はかなわない。でも直球の伸びとコントロールは勝っている」と強気だ。

 今月8日に始まった新人合同自主トレーニングでは、関西気質らしく笑いで他のルーキーたちを和ませるが、ブルペンに入れば抜群の制球力でブルペン捕手をうならせている。「順調。キャンプまでに全力で投げられるように調整できれば」

 目標に掲げた「11勝と新人王」を成し遂げるため、先輩左腕のように、己を信じて険しい道のりを一歩ずつ上っていく。

 ◆かみちゃたに・たいが 投手。京都市出身。京都学園高-東洋大。高校時代に甲子園出場経験はないが、東洋大では1年秋から東都大学リーグ戦に出場。4年の春季リーグの駒大戦では8連続奪三振を含む1試合20三振の新記録を樹立。6勝2敗の大活躍でチームを3連覇に導き、MVP、最優秀投手など3冠。181センチ、83キロ。右投げ右打ち。背番号27。22歳。
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