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練習船の魅力 次代へ 帆船日本丸船長 飯田 敏夫さん

横浜みなと新聞 神奈川新聞  2019年01月28日 06:45

帆船日本丸の船体の構造を説明する飯田船長(中央)=横浜市西区の旧横浜船渠第一号ドック 
帆船日本丸の船体の構造を説明する飯田船長(中央)=横浜市西区の旧横浜船渠第一号ドック 

 帆船日本丸の船底が約20年ぶりに姿を現した。横浜・みなとみらい21(MM21)地区に今も残る明治期の石造りドック、旧横浜船渠(せんきょ)第一号ドックの水が抜かれたのだ。

 今月初旬、深さ11メートルのドックの底に降り立った第38代船長の飯田敏夫さん(68)は所々に残る水たまりを避けながら、何度も船底を見上げた。

 「よし、大丈夫だ」

 鋼鉄製の外板やつなぎ目には、超音波による事前調査で把握していた以外の摩耗や腐食は見当たらない。日本の造船技術力の高さに、あらためて驚嘆した。

 溶接技術がなかった当時はリベットと呼ばれる鋲(びょう)を使い、鋼材を強固につなぎ合わせた。リベットは緩むことなく役割を果たしていた。

 船体の大規模修繕の着工を控えた8日の報道関係者向け見学会。案内役を買って出た飯田さんは「建造当時としては最新の技術が随所に生かされています」と熱心に説明した。

 「練習船の歴史と役割に関心を持ってもらえる絶好の機会だからね」


約20年ぶりに大規模修繕する帆船日本丸
約20年ぶりに大規模修繕する帆船日本丸

 日本丸は1930年に神戸の造船所で建造された大型の練習帆船。84年に現役を引退するまで1万人以上の船乗りを育て上げた。85年から旧横浜船渠第一号ドックで保存公開されているが、船体の老朽化によって一部で外板の摩耗や腐食が進み、修繕が必要だった。

 「日本丸は、海運史や造船技術史を知る上で大変貴重」。船員を養成する航海訓練所(現・海技教育機構)の理事長を務めていた飯田さんは、2015年に日本丸船長に就任。文化財としての価値を訴え続けたことで、日本丸は17年に国の重要文化財に指定された。


ディーゼルエンジン2基を搭載し、船用プロペラも備えられている
ディーゼルエンジン2基を搭載し、船用プロペラも備えられている

 今回の大規模修繕では船体の腐食部分にあて板を溶接して補修する。その後は船室などの改修を予定している。日本丸を所有する市の発注工事であり、市の予算のほか、市民からの寄付や文化庁の補助金を活用する。

 日本丸は引退後の横浜で、全ての帆を広げる「総帆(そうはん)展帆(てんぱん)」や、子ども向けの海洋教室を開いている。「最も素晴らしい功績は、市民に練習船の魅力を伝え続けていること」

 27日には、89回目の「誕生日」に当たる進水記念日を迎えた。「太平洋の白鳥」とたたえられ、市民に愛された日本丸を末永く「生きた船」として保存活用していくつもりだ。


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