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専守防衛考
時代の正体〈665〉「まずは信頼の醸成を」 軍事評論家・前田哲男さん(下)

時代の正体 神奈川新聞  2019年01月27日 00:27

前田哲男さん
前田哲男さん

 米国の戦争に巻き込まれかねない状況にある日本。政府が閣議決定した新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と次期中期防衛力整備計画(2019~23年度)は、そうした日本の防衛のあり方の変化を後押しする。28日に召集される通常国会に向け、軍事評論家の前田哲男さんは「対抗策を」と野党に奮起を呼び掛ける。

 -いずも型護衛艦の空母化など、攻撃的な装備が導入される背景は。

 「従来、自衛隊の役割は日本列島守備だった。同時に、日米安保体制のもと、米国との協力が安全保障のカギだという言い方がされてきた。米国が槍(やり)、自衛隊は盾。つまり攻撃は米国が担い、日本が基地の提供と基地防備を含んで列島をしっかり守るという役割分担だ。公文書で明記されたことはないが、国会答弁などでもそう説明されてきた。ところが今回の大綱ではそれが無くなり、お互い槍にも盾にもなる対等の存在だと打ち出された。安倍内閣で一般名詞となった『日米同盟』という言葉からしてそうだ。これまでは安保協力、日米防衛協力という言葉が使われてきたが、より対等な攻守同盟を表す言葉が、日米間で使われるようになっている」

 -憲法9条からの逸脱に感じる。

 「だれもがそう思うだろう。盾と槍の段階であれば、『日本国憲法が認めているのは個別的自衛権で、個別的自衛権に基づく専守防衛は憲法に違反するものではないし、そのために働く自衛隊は合憲である』と言えた。だが安倍内閣は、密接な関係にある他国への攻撃に対応する集団的自衛権も合憲とし、槍と盾の日米関係を日米同盟に変えた。何のために9条が存在しているのか。だから安倍首相は、改憲だと言っている。彼も、現状は居心地が良くないと考えているのは間違いない」

 -「専守防衛」と現実の落差をどう思うか。

 「文字(憲法)と事実の落差はあまりにも大きい。安倍晋三首相は、文字を変えて事実を認めろと言う。だが、文字を変えたくない人は、事実のほうをちゃんと抑えるか、少なくとも文字が許容する範囲に戻さなければならないと思うだろう。落差がかくも巨大になると、他国に対して日本は言っていることとやっていることが一致していないという、非常に誤った印象を与えてしまう。また、われわれの子孫に、憲法なんてどうだっていいと考えさせるような悪い教育を、大人自らがやっていることにもなる」

 -今回の大綱を受けて、日本はどういう方向に行くと思うか。

 「いまの自衛隊は、完全に米国のもとでの自衛隊であり、米国の国益、トランプ大統領の国益と言ってもいいような中での位置づけだ。だから安倍首相自身の世界観とは多分、違っている。彼は『美しい国』と言い、自衛隊、防衛を取り戻すというようなことを言ったが、取り戻すのではなく預けっぱなしで、大変醜い日本をつくっている。決定するのはおそらくトランプ大統領だろう」

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