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農業で松田再生へ 30年ぶり農業認定者 外国人を指導、国際貢献も

話題 神奈川新聞  2019年01月21日 02:04

体験農場でオクラの種を取る佐野さん。「リアル」な農業体験を基本に置くため、体験者が畑起こしからできるよう、冬枯れしたままにしてある=松田町寄
体験農場でオクラの種を取る佐野さん。「リアル」な農業体験を基本に置くため、体験者が畑起こしからできるよう、冬枯れしたままにしてある=松田町寄

 故郷にあしたの種をまいている人がいる。松田町寄(やどりき)の農業佐野晃一さん(37)は昨年、町では約30年ぶりとなる「認定農業者」となった。農業を通して、外国人が地元で生計を立てられるような技術指導や、過疎化が進む寄地区の再生へ農業体験などに取り組んでいる。 

 認定農業者は農業経営基盤強化促進法に基づき、農業経営の規模拡大や生産性向上などを掲げた5年間の農業経営改善計画書が市町村の認定を受けた農業経営者のこと。町では30年近く認定者がいなかったという。

 認定を受けると金融面や税制措置などで支援を受けることができるが、佐野さんは「研修生を受け入れたかったから」と理由を語る。認定農業者の下で研修を受ける人には金銭的な支援もあるのだ。

 7、8年前に趣味のダイビングでフィリピンの過疎の島に行った時、物乞いをして生活している人を見掛けた。地元の仲間に話を聞くと、バナナなどは育てているが、主食となる米や野菜を栽培していないため、物乞いをしているのだという。

 なぜ育てないのかと尋ねると「育て方が分からない」。加えて塩害が強く、米作には向かない土地なのだという。この時、「日本の栽培技術があれば自立できるのでは」と考え、まず自らが農業を学んだ。

 ダイビングショップの店員などを経て就農し5年がたった頃、当初はフィリピンで指導しようと思ったが、近く外国人研修制度の緩和もあると聞いて、故郷での受け入れを決意した。手続きが進まず、現在はまだ研修生はいないが「日本人よりも、技術がない国の人に教えたい」と考えている。

 一方で、2年前から都内企業と提携して農業体験を行っている。都会暮らしの社員が家族連れで訪れ、寄地区の自然の中で収穫に汗を流す。近くの民宿に泊まっていく人もいるという。

 ただ、寄地区には宿泊施設が少ない。佐野さんは現在、農業体験ができて宿泊もできる「農泊」を地元の仲間たちと模索している。体験観光で多くの観光客を呼び込み、地元雇用と商品販売で故郷の持続可能な再生を図ろうというのだ。

 町も動きだし、町観光協会などとつくるYHV(やどりきヒーリングビレッジ)推進協議会で2017年度から農泊に取り組み始めた。地元と連携しながら観光地としての寄地区の可能性を探っている。

 「ここが寄の変わりどころ」と、佐野さんはこれからの数年を再生への正念場と見ている。


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