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内なる差別と向き合う LGBTテーマの映画で監督語る

カルチャー 神奈川新聞  2019年01月19日 02:42

映画に込めた思いを語る中川監督(左)と鈴木さん=17日、川崎市川崎区のチネチッタ
映画に込めた思いを語る中川監督(左)と鈴木さん=17日、川崎市川崎区のチネチッタ

 LGBTなど性的マイノリティーをテーマにした短編映画「カランコエの花」の上映会が17日夜、川崎市川崎区の映画館チネチッタで開かれた。上映の前後には中川駿監督とゲイであることを公表している小学校教員鈴木茂義さんによるトークショーもあり、参加者は社会とそれぞれが心の奥底に抱える「内なる差別」と向き合った。

 映画の舞台は、とある高校2年生のクラス。授業をきっかけに広がった「クラスにLGBTがいるのでは」という波紋から、マジョリティー(多数者)が少数者に向ける興味本位や戸惑いのまなざしを描く。

 「LGBTの問題は、うかつに手が出せないと距離を置いていた自分への反省を作品に込めた」という中川監督。制作を通じて「男らしさ、女らしさ」を押しつける社会のありように違和感を持つようになったといい、上映を前に「新たな意識や観点を持ってもらえたらうれしい」と、観客席を埋めた約200人に語り掛けた。

 「きしょい(気持ち悪い)」「レズビアンなんかじゃないよ」

 クラスメートのせりふの一つ一つが潜在する差別意識や偏見を浮かび上がらせていく。クライマックスはレズビアンの女子生徒の独白。上映後もその余韻を引き、静まりかえる会場。2度目の観賞という鈴木さんが「私も高校時代に好きな男の子の話をしてみたかった」と実感を込めると、同作が問い掛ける「あなたの隣に当事者がいたら」というメッセージが現実感をもって広がった。

 トークショーの司会が観客席に感想を求めると、性的マイノリティーの当事者から手が挙がり、「私も職場で(LGBTがいるのではという)『犯人捜し』を経験した。会社を辞め、恐怖心から再就職できずにいる」と打ち明けた。呼応するように高校教員の男性は「違いが認められない苦しさを知り、ありのままを受け止められる人間でありたい」との思いを語った。

 「作品の持つ力がさまざまな感情を呼び起こし、発言を引き出した。今後も映画を入り口に人権の問題が身近になるきっかけをつくっていきたい」と上映を主催した市人権・男女共同参画室。会場に設けた相談コーナーには上映会後、当事者や支援者ら25人が訪れたという。


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