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国家にのみ込まれる恐怖 【ゴールデンスランバー】

カルチャー 神奈川新聞  2019年01月18日 01:58

 2010年に堺雅人主演で映画化された伊坂幸太郎の同名小説を、韓国ソウルに舞台を移して映画化。国家の陰謀に巻き込まれた青年が、友人らの助けを得て奮闘するスリリングなアクション活劇に仕上がった。

 ソウルの街中で、次期大統領候補が暗殺された。純朴な宅配便ドライバーのゴヌ(カン・ドンウォン)=写真=は、身に覚えのない暗殺犯として、突然警察に追われる身に。必死の逃亡を続けるが、ゴヌを犯人と裏付ける証拠が次々と公表されていく-。

 情報操作によって、善人を悪人に仕立て上げ、のみ込んでいく国家。誰もが標的にされ得る恐ろしさがある。華のあるカリスマオーラを封印し、困り顔が似合う平凡な青年になりきったカンが、共感を誘う。

 見せ場の一つである爆弾テロによる暗殺シーンは、観光名所の光化門(クァンファムン)前の大通りで撮影。ゴヌの逃走経路は、入り組んだ住宅街の細い路地。ソウルならではの撮影地が、画面に説得力と緊迫感をもたらす。

 原作と異なるラストなど大胆な脚色が随所に施されているが、白熱する大統領選挙や進む情報社会といった韓国の現況と見事にマッチする。

 映画のタイトルと同じ、ビートルズの名曲が作品を貫く。青春時代を回顧する場面で流れ、ゴヌと高校時代のバンド仲間たちの友情が物語を動かす鍵となっている。


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