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防災用マグネシウムライトをプレゼント
「災害に強いかながわ」へ 阪神淡路大震災24年

神奈川新聞  2019年01月16日 17:00

 6千人以上が亡くなり、国内の自然災害では東日本大震災に次ぐ被害となった阪神淡路大震災の発生から、1月17日で24年が経過した。「忘れたころにやってくる」天災に備えるには、防災への意識を地道に喚起し、最大限の態勢を整え続けるしかない。地域防災の要である消防団を束ねる大津政美・県消防協会会長、マグネシウムライトの無料配布という防災プロジェクトに取り組むペガソス・エレクトラ社の吉川元宏社長、そして黒岩祐治知事に「自助」「共助」「公助」をテーマに語っていただいた。(文中敬称略) 司会:神奈川新聞取締役 中村卓司

「災害とともに生きる」


 ―2018年は大阪や北海道での地震、西日本での台風・豪雨災害など災害の多い1年でした。

 黒岩 夏場を中心にこれでもかこれでもかと災害が襲ってきましたが、神奈川では直撃や大きな災害はありませんでした。でもそれはたまたま。台風の進路が少し変われば、神奈川でももっと被害が出ていたでしょうし、地震に至ってはいつどこで起きるか分からない。改めて、われわれは災害とともに生きていると実感させられた1年でした。

 吉川 日本という国は四方を海に囲まれているので地震や津波とは切り離せない、宿命的な国だなと思います。豊富な水、海の恵み、山の幸がある分、自然災害がどうしても起きてしまう。近代化して社会が便利になってきましたけれど、自然と共に暮らしていることには変わりないですから、いつ災害が起きてもおかしくないのだと改めて思いました。


それぞれの立場から「自助、共助、公助」について語り合った(左から)ペガソス社・吉川社長、大津・県消防協会会長、黒岩・県知事=神奈川県庁
それぞれの立場から「自助、共助、公助」について語り合った(左から)ペガソス社・吉川社長、大津・県消防協会会長、黒岩・県知事=神奈川県庁

 ―その中で自助、共助、公助というテーマが年々重みを増していきます。

 大津 われわれは公助に頼り過ぎている面があると思います。自分の身は自分で守るという自助から始めて、隣近所への共助へとつなげていく。隣に誰が住んでいるかが分からなければ助けに行こうとしても、声を掛けることもためらわれる。県内で59ある消防団が手を取り合うという態勢を整え、地域の防災力に貢献していきたいです。

 黒岩 自助に関しては県からの仕掛けとして、シェイクアウト訓練をやってきました。地震が起きた瞬間に机の下に潜り込んで頭を守って、じっと動かない。これだけのことですが、反射的に動くということが大事です。昨年は207万人の参加登録がありましたが、こんなことはどこもやっていない。さらに展開していく必要があると思っています。

民間発の自助、共助


 ―ペガソス・エレクトラ社のマグネシウムライトを使った防災プロジェクトも自助、共助への一歩目と言えますね。活動の趣旨を説明してください。

 吉川 やはり東日本大震災が大きかったですね。私は会社から帰れず、妻と娘は停電で寒い中、車で一晩過ごし、申し訳ないことをしたなと、改めて考えました。防災って概念や考え方ではなく、具体的にどういう行動をするかということ。「天災は忘れたころにやってくる」という言葉がありますが、常に備えているのは難しい。普段から考えていなくても、災害が起きたらいつでも使えるものが家にあってもいいのではないだろうかと思いました。
 そこでマグネシウム電池という保存にたけている電池を使用したLEDライトを開発しました。100年、200年でも保存ができ、どんな液体でも反応して明かりがつく。災害時に最初に確保してほしいものは明かりです。横浜市中区から無料配布を始めました(灯─mawaliプロジェクト)。どんどん全国に展開していきたい。この活動を個人や企業の皆さんの協賛で支えていただくというのが、自助や共助にもつながっていくと思っています。


独自に開発したマグネシウムライトの無料配布する「ひまわりプロジェクト」に取り組むペガソス社の吉川社長
独自に開発したマグネシウムライトの無料配布する「ひまわりプロジェクト」に取り組むペガソス社の吉川社長

 ―消防団はまさに地域を守る防波堤。神奈川の現状はどうなっていますか。

 大津 県内には59団、約1万8千人の団員がいます。そのうち1500人の女性団員を中心として、中学生を対象に心肺蘇生とAED(自動体外式除細動器)の使い方の手ほどきをしています。全団員がただ火事の時に水を出すということではなく、地域全体の安全安心を支えていければと思っています。
 
 黒岩 全国の消防団員が減少している中で、実は神奈川だけが断トツで増え続けています。彼らは地元に一番根付いている人たちですから、自分たちの街は自分たちで守ろうという、防災の原点の精神が今も息づいているということ。これはやはり非常に大きいです。


地域防災の要となる県内の消防団を率いる大津会長
地域防災の要となる県内の消防団を率いる大津会長

ビッグレスキューかながわという総合力


 ―「災害に強いかながわ」に向けた取り組みも活発ですね。

 黒岩 大規模災害対応には「総合力」が必要です。神奈川独自の防災訓練として「ビッグレスキューかながわ」という取り組みがあります。大規模災害の時に自衛隊の医療を前面に出す。自衛隊は機動力があるし、医療集団でもあるわけです。そこに消防や警察、医療機関、企業、行政、そして在日米陸海空軍が一丸となって、大規模災害に立ち向かおうというほかに例がない訓練をやってきました。


前身のキャスター時代から防災、減災に関するさまざまな提案を行い、実現させてきた黒岩知事
前身のキャスター時代から防災、減災に関するさまざまな提案を行い、実現させてきた黒岩知事

 毎年繰り返すうちに練度が上がって、米軍や自衛隊が赤十字やDMAT(災害派遣医療チーム)などの民間の医療集団と一緒になって見事な連携を見せてくれ、在日米軍の司令官もびっくりしていました。
 それから、消防の在り方ですよね。消防は市町村単位で組織が小さく、大規模災害には対応しきれません。「神奈川消防庁」を作れればいいのですが、実際には難しい。ならば実体的に「かながわ消防」を作ろうということで、これは県の職員からの提案だったのですが、各消防本部が「かながわ消防」という中で、知事をトップに、応援部隊の一元的な運用を行い、一体となって連携していくこと。例えば訓練で2キロ先の火事に、プールからホースをつないで放水をする。それをリレーする消防車に書いてある本部の名前が、全部違うんですね。こんなことは今まであり得なかった。

大切な人、守るために


民間企業、消防団、そして県という自治体、それぞれが手を携え合って大規模災害に備えていくべきだと語り合った(左から)ペガソス社・吉川社長、黒岩県知事、大津・県消防協会会長=神奈川県庁
民間企業、消防団、そして県という自治体、それぞれが手を携え合って大規模災害に備えていくべきだと語り合った(左から)ペガソス社・吉川社長、黒岩県知事、大津・県消防協会会長=神奈川県庁

 ―自助、共助、公助が三位一体となった防災力の高い神奈川の実現に向け、県民にメッセージをください。

 吉川 防災って、突き詰めると自分の大切なものや人を守るために、全ての行動を取ることだろうと思っています。一人一人が大切なものを守りたいという思いの集まりが大きな輪になって、それが防災行動へとつながっていく。そうした積み重ねの中で助け合いの社会が醸成されて、自助共助というものが構築されていくのではと思います。ぜひマグネシウムライトの無料配布イベント、防災イベントにも来ていただいて、歩みをともにしていただけたらと思います。

 大津 神奈川の消防団の充足率100%を目指したいです。あとは消防団をリタイアしたときに、ああこの活動をしていてよかったという気持ちが持てるような団活動をさせてあげたい。団員数が増えているのは、微力ながら、私たちが考えてきたものが浸透した成果だと思います。何としてでも、2万人を超す団員数を満たせればうれしいです。

 黒岩 災害を「自分ごと」として捉えることが大事です。一番強い力というのは家族の力やコミュニティーの力ですね。例えば地震でアパートが崩れたときにあのおばあちゃんどうした、あのおじいちゃんいないよね、と思うと人は動くわけですね。そういうコミュニティーが作られていることがすごく大事です。
 家族もそうですね。地震の時にはどこどこに集まろうねとか、避難場所ってどこだっけとか、津波に対してここは海抜何メートルだっけと、自然な会話の中で反復して、自然に災害に備えているということが、大事なんじゃないかなと考えます。それは今すぐにでもできることですから。

神奈川県消防協会


県消防協会の会合の様子。県内で1万8千人が登録している消防団は地域防災の要だ。
県消防協会の会合の様子。県内で1万8千人が登録している消防団は地域防災の要だ。

1926(大正15)年11月に消防の改善・発達を図ることを目的に消防組員および消防員を正会員として設立、現在の公益財団法人に至ります。県内には59消防団、約1万8千人の消防団員がおり、近年の複雑多様、大規模化の様相を示す災害に対応すべく日夜訓練、研修等を実施しています。

ビッグレスキューかながわ


自衛隊や在日米軍、民間医療機関などが一堂に会する「ビッグレスキューかながわ」の訓練風景。大規模災害には各機関の連携による「総合力」がものを言う。
自衛隊や在日米軍、民間医療機関などが一堂に会する「ビッグレスキューかながわ」の訓練風景。大規模災害には各機関の連携による「総合力」がものを言う。

ビッグレスキューかながわとは、大規模災害発生時の救急医療を主体とした実践的な活動を行い、地域防災力の強化および防災意識の高揚を目的とした県・市町村合同総合防災訓練を指します。昨年は、海老名市と合同で県立相模三川公園他、4会場で実施されました。

かながわ消防


県内の各消防本部が一丸となる「かながわ消防」。各応援部隊の統合的な運用が可能になっている。
県内の各消防本部が一丸となる「かながわ消防」。各応援部隊の統合的な運用が可能になっている。

かながわ消防とは、2016年4月にスタートした災害発生時に県と県内消防本部が一丸となって県内の被災地を応援するしくみです。大規模災害が発生した場合、知事を本部長とする「かながわ消防」を設置。県内すべての消防本部の応援部隊を円滑に統合的に運用できることが特長です。

灯‐mawali(ひまわり)プロジェクト


ペガソス社が開発したマグネシウムライト。どんな水分にも反応し、災害による停電の「最初の明かり」を照らしてくれる。
ペガソス社が開発したマグネシウムライト。どんな水分にも反応し、災害による停電の「最初の明かり」を照らしてくれる。

災害時、まず必要なものは「灯り」。灯りの無い暗闇では心がなえてしまうもの。「全世帯に灯りと勇気を届けたい」という思いから暮らし灯台プロジェクト「灯‐mawali(ひまわり)」を立ち上げました。地球にやさしいクリーンエネルギー「マグネシウム電池」を使った災害用マグネシウムライト=写真=を、キャンペーンを通じて各家庭に配布するプロジェクトで、長期保存ができる防災グッズとしてもしもの備えに活用できます。

抽選で20人の読者に災害用マグネシウムライトをプレゼント
 神奈川新聞社では読者20名に抽選でこのマグネシウムライトをプレゼントします。
▶応募はこちらから
 締め切りは1月31日。発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※いただきました個人情報はこの企画以外では使用しません。

企画・制作 神奈川新聞クロスメディア営業局


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