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同郷留学生支援に奮闘 川崎のバングラデシュ人男性

話題 神奈川新聞  2019年01月13日 08:41

バングラデシュの留学生たちと清掃活動に励むメヘディさん(右から2人目)
バングラデシュの留学生たちと清掃活動に励むメヘディさん(右から2人目)

 生まれ故郷からやって来る留学生たちの支援に、情熱を燃やすバングラデシュ出身の男性が川崎市多摩区にいる。優秀な若者が日本での暮らしになじめず、短期間で帰国してしまった苦い経験から一念発起した。「学生が変わると社会が変わる。社会が変われば、国が変わる。国が変われば平和になる」-。そんな信念を胸に、入管難民法の改正で増加が見込まれる外国人労働者にも思いをはせる。

 2018年11月下旬、川崎市高津区で開かれた「交通の日」のキャンペーン。その一環でバングラデシュの留学生たちが民族歌を歌い、踊り出す。珍しさもあって、通行人が足を止めて見入った。

 学生らを束ねるのが、同国出身のハサン・メヘディさん(36)だ。2015年に支援組織団体「TOKYO BIKRAMPUR STUDENT CLUB」を設立し、現在は約40人が所属する。

 メヘディさんは07年2月に来日した。「仕事を覚えて経験を積み、いずれは国のために役立つ仕事がしたい」。日本語学校で2年間勉強した後、自動車整備士の専門学校に2年間通い資格を得た。12年から東京都内のタクシー会社で自動車整備などの仕事に携わる。

 活動のきっかけは、孤立を深める後輩たちの姿を目の当たりにしたことだった。自身は日本の生活にそれほど苦労せず順応できたが、知り合った優秀な学生たちがわずか数カ月で帰国する現状に胸を痛めた。

 「将来を嘱望されている若者を支援することは、国の将来さえ左右する大事なこと」

 支援は来日したばかりの学生を空港で出迎え、市役所での登録を手伝うことから始まる。移住後は清掃活動や国際交流会などへの参加を促すほか、自宅に留学生を呼び寄せてパーティーを開き、兄貴分として相談にも乗る。「困っている人がいたらできる限り助けたい。金を持っていないなら体を使ってでも」。今では稼いだ給料をこつこつとため、祖国の小中学校に義援金を送ることもある。

 来日して11年、訪日外国人の急増など取り巻く環境は変わった。それでも、豚を口にしないムスリム(イスラム教徒)にとって、日本語のみの表記が並ぶコンビニやスーパーでの買い物はなかなか難しい。メヘディさんは「日本はこれまで、日本人のために全てのものを作ってきた。でも、世界も日本も環境が大きく変わっている。食や文化で対応できる部分はたくさんあると思う」と言う。

 同法改正で19年春から外国人労働者の受け入れ拡大も決まった。レベルの高い日本語能力試験が課されるなどハードルは低くない。

 「言葉が分かっても日本の社会やルールまで知っているわけじゃない。電車で並ぶのだって、外国人にとって当たり前じゃなく、やはり教える人は必要」とメヘディさんは力を込め、こう続けた。「日本人は困っている人がいると助けてくれる。少しずつ理解が進むといいですね」

 安全で美しい日本を「魔法の国」と呼ぶメヘディさんは口元を緩ませた。


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