1. ホーム
  2. 社会
  3. ヘルプカード、広がる輪 視覚障害者に中3が手作り 「支えたい」児童も作製 逗子

ヘルプカード、広がる輪 視覚障害者に中3が手作り 「支えたい」児童も作製 逗子

社会 神奈川新聞  2019年01月12日 17:00

おっちゃんこと、荒木さん(右)にプレゼントしたヘルプカードを手にする木戸さん=逗子市久木
おっちゃんこと、荒木さん(右)にプレゼントしたヘルプカードを手にする木戸さん=逗子市久木

 逗子市立久木中学校3年の木戸沙奈(すな)さん(15)が視覚障害のある友人の男性のために、周囲に助けを求める時に掲げる、ヘルプカードを手作りした。男性が市内の小学校で紹介し、賛同した小学生も作製。市が必要な市民に配布するまでになった。木戸さんは「自分のした小さなことがこんなに広がるなんて」と喜び、「カードをきっかけに、友達の輪が広がればうれしい」と話している。

 木戸さんが、近所に住む荒木俊彦さん(71)のために作ったカードはA5判。子どもにも伝わるよう画用紙の中央に「?」を書き、表裏が分かるよう表面に突起のあるシールを貼った。

 木戸さんは荒木さんのことを“おっちゃん”と呼ぶ。出会いは数年前。青信号の横断歩道の前で、白杖を持って立つ荒木さんを見つけた。「青ですよ」と声を掛けると、荒木さんは「ありがとう」とほほ笑み、渡った。それ以来、道端で会えば、会話を交わすようになった。

 他愛もないおしゃべりを繰り返す中で、荒木さんがある日、何げなく漏らした。「困っている時に、周囲の人にどう声を掛けていいか分からないんだ」。解決するすべはないか話し合ううち、ある考えが2人に浮かんだ。「困っている人が自ら発信できるものがあるといい」

 木戸さんはカードを手作りし、昨年の夏休みに荒木さんにプレゼントした。荒木さんは「困った時の紙頼みカード」と名付け、肌身離さず持ち歩いている。理容店や携帯ショップの入り口が見つけられず、カードを掲げたところ、すぐに声を掛けられた。「これまでに3回使い、すぐ助けてもらった。僕のお守りだよ」。荒木さんは目を細める。


自分たちで作ったヘルプカードを市に寄贈した市立久木小の4年生=逗子市役所
自分たちで作ったヘルプカードを市に寄贈した市立久木小の4年生=逗子市役所

 荒木さんは昨年10月、市立久木小で総合学習の講師を務めた際、カードを4年生に紹介した。興味を持った児童は自分たちでも作ってみることに。「みちをおしえて」など困りごとを具体的に記したり、外国籍のために「SOS」の文字を書いたりとアイデアを加え、40枚ほど作製した。横川万恵さん(9)は「困っている人をサポートしたいと思った」と話す。

 子どもたちの思いに共感した市は、同小にカードの寄贈を打診。寄贈されたものを、必要な市民に市障がい福祉課窓口で渡すことにしている。

 荒木さんは取り組みの広がりを喜び、こう願っている。「算数とか、球技とか、誰にでも苦手なことはある。僕は物を見るのが苦手。違う人間同士、楽しく笑い合う風景が、当たり前になれば良い」


シェアする