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音とアートの力信じ 「応援旗」500枚展示
つなぐ、震災の記憶 茅ケ崎で慈善演奏会

話題 神奈川新聞  2019年01月09日 17:00

チャリティーコンサートの会場で飾られたパッチワーク。現在、36カ国から2600枚が集まっている(しおみえりこさん提供)
チャリティーコンサートの会場で飾られたパッチワーク。現在、36カ国から2600枚が集まっている(しおみえりこさん提供)

 東日本大震災の記憶を伝え続けようと、茅ケ崎市のピアニストと音楽仲間たちが11日、茅ケ崎市民文化会館(同市茅ケ崎)でチャリティーコンサートを開催する。震災後、被災地へ楽器を送ったことを機に始まったコンサートは国内外で開かれ、茅ケ崎では2回目。会場には、津波被害に遭った着物を素材に市民が手作りした「応援旗」も展示される。出演者たちは「いろいろな縁があり、続けることができたコンサート。思いを届けられたら」と願いを込める。

 今回のコンサートを企画したのはピアニストの楠山裕子さん(62)=同市在住、クラリネット奏者の橋爪恵一さん(66)、橋爪さんの妻で音楽プロデューサーのしおみえりこさん(66)=東京都立川市在住。

 7年間続くコンサートが始まったきっかけは、2011年3月の震災後、橋爪さん、しおみさんが、津波で楽器が流されてしまった宮城県の高校の吹奏楽部に楽器を送ったことだった。12年に、楽器を受け取った中高生らがサントリーホール(東京都港区)でのコンサートに参加。その時に会場に展示した「応援旗」が大きな反響を呼び、これまで活動を続ける原動力となった。

 応援旗は、しおみさんが復興支援を通じて知り合った、宮城県石巻市の呉服店から譲り受けた着物をリメークしたものだった。

 「『こんなに遠くまで来てくれたのに、お礼にあげるものがなくて』と言われて受け取ったのが一枚の留め袖。シミや泥が付いて『売り物にならないから』と頂いた着物は、染めも織りも本当に素晴らしかった」としおみさん。

 留め袖にはさみを入れ、出演者たちのステージ衣装を作り、さらに余った切れ端を活用し、1枚50センチ四方の「応援旗」をこしらえた。コンサート会場に飾ると「活動に参加したい」との声が多く寄せられるようになった。

 津波で泥まみれになり、呉服店に残っていた着物をさらに譲り受け、何度も手洗いや天日干しを繰り返した。美しさを取り戻した着物は「応援旗」として生まれ変わった。

 震災から5年後。楠山さんも参加した茅ケ崎市内でのチャリティーコンサート後、茅ケ崎市民から寄せられたパッチワークには、こんな言葉が刻まれていた。

 〈心をそえて 共に生きる〉


茅ケ崎市民から寄せられたパッチワークの応援旗。50センチ四方の布をつなげると「心をそえて 共に生きる」の文字が浮かび上がる(しおみえりこさん提供)
茅ケ崎市民から寄せられたパッチワークの応援旗。50センチ四方の布をつなげると「心をそえて 共に生きる」の文字が浮かび上がる(しおみえりこさん提供)

 楠山さんは言う。

 「原発事故の後、故郷を離れざるを得なかった方もいると聞いた。被災者の思いも込められている」

 パッチワークの活動は海外にも広がり、現在、日本を含む36カ国から約2600枚が集まっている。今回のコンサートでは、応援旗約500枚を会場のステージとロビーに展示する。

 震災から間もなく8年。しおみさんは「あの震災で多くのものを失い、一方で多くのことを学んだ。音楽とアートの力で、震災の記憶を伝え続けていきたい」と話している。


コンサートのパンフレットを手にする楠山さん=茅ケ崎市中海岸
コンサートのパンフレットを手にする楠山さん=茅ケ崎市中海岸

 コンサートは音楽演奏のほか、絵本作家で画家の葉祥明さんによる詩の語りもある。午後7時開演。一般3千円、小中高生1500円。収益金はパッチワークで作った緞帳(どんちょう)を石巻市のホール施設に寄贈する活動に充てる。チケットの申し込み・問い合わせは、楠山さん電話090(2248)4450。またはメール(costa@kusuyamahall.com)。


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