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「未来の健康は今から」 製薬会社が児童らに出張授業

話題 神奈川新聞  2019年01月07日 01:52

生活習慣病を学んだ武田薬品工業の授業=小田原市立早川小学校
生活習慣病を学んだ武田薬品工業の授業=小田原市立早川小学校

 薬は病気を治す手助けをするもの-。子どものうちから健康な生活を心掛け、将来の生活習慣病予防に役立ててもらおうと、大手製薬会社がCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、全国の小学校で出張授業を始めている。授業を通じて生活習慣を改め、「健康アンバサダー」として広めてもらう。昨年11月に小田原市立早川小学校(同市早川)で行われた授業を取材した。

 「体は知らないうちに悲鳴を上げます」。保健・体育の時間を使い、6年生の約40人が講師の説明に真剣な表情で聞き入っていた。

 講師は武田薬品工業(本社・東京都中央区)横浜支店長の岩田宜也さん。同社が取り組む授業は、スマートフォンの多用で、睡眠時間が確保できない小学生が全国的に増え、運動不足にもつながっていることから、今の生活を振り返ってもらうのが狙いだ。

 塩分、脂肪分の取り過ぎや運動不足による生活習慣病の一例として心臓病や脳卒中があるが、児童たちが理解しやすいよう、ストローを配り、血管に例えて説明。指でつぶすと空気の通りが悪くなる状態を再現するなど、一人一人が実感できる工夫も凝らされている。

 岩田さんは基本知識として、江戸時代から230年以上続いている同社の歴史や、薬が開発されるまで9~16年かかること、約2万5千個の材料からわずか1個が選ばれる仕組みも説明した。

 児童たちは「健康アンバサダー」として周囲に広める役割を期待されている。そのため、授業では健康に悪い生活を続けた未来の姿をタブレット端末でシミュレート。自分の生活の課題を見つけ、健康な生活を送る大切さを周囲の人に伝えるメッセージを班ごとに考えるワークショップも行われた。

 授業を受けた松井寿一さん(11)はサッカースクールに午後7時から通い、帰宅後に遅い夕飯を食べる生活サイクルを発表。食後、宿題に取り組むため、睡眠時間が短くなりがちだったという。「自分がだらだらしていることに気付いた」と話し、振り返る機会になったようだ。

 一見すると、製薬会社の業務と相反する授業のようだが、講師の岩田さんによると、「患者さんのために」という使命感で始めた取り組みだという。「苦しんでいる人をどれだけ減らしていくかが原点。子どもたちには健康で、あるべき姿を身に付けてほしい」と力説した。


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