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【寿町火災】死亡男性の部屋が火元か  焼け跡に吸い殻

社会 神奈川新聞  2019年01月06日 02:10

火災があった簡易宿泊所=4日午前8時5分ごろ、横浜市中区寿町4丁目
火災があった簡易宿泊所=4日午前8時5分ごろ、横浜市中区寿町4丁目

 横浜市中区の簡易宿泊所(簡宿)で4日朝、5階の一部が燃えて男女2人が死亡した火災で、男性の遺体が発見された部屋が火元とみられることが5日、捜査関係者への取材で分かった。焼け跡からたばこの吸い殻が入った空き缶が見つかり、県警が出火原因との関連を調べている。

 捜査関係者によると、男性は足が不自由だった511号室の宿泊者とみられ、ベッドの上に倒れていた。部屋は約6平方メートルで、空き缶はベッドからやや離れた位置にあった。訪問介護でこの簡宿を訪れていたヘルパーは県警に対し、男性が空き缶を灰皿にしていたと説明している。

 一方、簡宿の関係者によると、5階の全16室は壁面がすすけるなどし、復旧には数カ月を要する見込み。生活拠点を失った十数人は、近隣の別の簡宿に身を寄せた。4階や6階の部屋でも電気系統などに不具合が生じたが、宿泊は可能な状態という。

 火災は4日午前6時15分ごろ、同区寿町4丁目の鉄筋10階建て「扇荘別館」で発生。5階の4室など計約80平方メートルを焼き、いずれも宿泊者とみられる男女2人が死亡、1人が意識不明の重体になるなど計8人が重軽傷を負った。出火当時は建物に約140人がいた。


火災で10人が死傷した簡易宿泊所=4日午前8時ごろ、横浜市中区寿町4丁目
火災で10人が死傷した簡易宿泊所=4日午前8時ごろ、横浜市中区寿町4丁目

「靴を履く暇なく…」 被災者に支援続々


 真冬の早朝に発生した横浜・寿地区の簡易宿泊所(簡宿)の火災では、100人余りの宿泊者の大半が着の身着のままでの避難を余儀なくされた。要介護認定を受けている高齢者も多く、出火の一報を聞いて駆け付けた支援団体の関係者や看護師、介護スタッフなどが地域ぐるみで支えた。

 「靴を履く暇なんてなかった」。出火元とは別階に住む高齢男性は、はだしに肌着姿のまま自力で建物の外へ脱出した。中には放水で衣類がぬれたままの人もおり、寒さに震えながら消火活動を見守った。

 早朝の惨事に、即座に動いたのは寿地区の支援7団体のメンバーだった。この年末年始、近くの寿公園を拠点に路上生活者たちへの支援活動「寿越冬闘争」を行ってきた面々で、毛布30枚と新品の厚手の靴下10足をすぐに届けた。

 構成団体の一つ、寿日雇労働者組合の近藤昇さん(70)は「大切な命を守るためにおのずと動いただけ。別に相談して決めたわけではない」と強調する。

 寿地区で20年以上、医療ボランティアとして活動する看護師森英夫さん(47)は現場に車いすを持ち込んだ。出火した簡宿には足が不自由な人や全盲の人がおり、トイレに連れて行くなどの介助を行った。

 近くの簡宿は1階ロビーに暖房を入れて体調が優れない人たちに開放。デイケアやデイサービス、地域作業所のスタッフがいち早く迎えに来る姿も見られた。

 寿地区では防災や交流をテーマにした会合が多く、地域の祭りも盛ん。宿泊者が支援団体のメンバーや住民と顔を合わせる機会が多い。寿支援者交流会事務局長の高沢幸男さん(48)は「寿で暮らす仲間たちに寄り添い、何かあったら助けるという思いを共有している」。いざというときに、日ごろ培ってきた「地域力」が問われると力を込めた。


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