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ハイブリッド芝 整備着々 生まれ変わる日産スタジアム

スポーツ 神奈川新聞  2019年01月05日 07:29

ハイブリッド芝の説明をするグリーンキーパー・柴田智之さん=日産スタジアム
ハイブリッド芝の説明をするグリーンキーパー・柴田智之さん=日産スタジアム

 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)で決勝会場となる横浜市港北区の日産スタジアムが、ハイブリッド芝を導入するなど生まれ変わろうとしている。02年にはブラジルが5度目の優勝を飾ったサッカーW杯日韓大会の決勝が行われており、世界中を熱狂させる2大大会のファイナルの舞台になるのは、仏パリ近郊のサンドニの「スタッド・ド・フランス」に次ぎ、世界2例目だ。ハマが誇る7万2千人収容の巨大スタジアムは開業22年目で迎える一戦を経て、今度こそフットボールの“聖地”となれるか。

 10月27日に開催されたニュージーランド(NZ)代表とオーストラリア代表の定期戦「ブレディスロー杯」。昨季の世界最優秀新人賞を獲得したリコ・イオアネ選手が力強い突破で横浜の大観衆を魅了し、世界最強とされるNZ代表「オールブラックス」が快勝した。21歳のスーパースターは「今まで戦った競技場で一番だね。走りやすく最高のパフォーマンスを引き出してくれた」と日産スタジアムのピッチを褒めたたえた。

 だが、そんな賛辞にも、開業当初からグリーンキーパーを担う柴田智之さん(53)は「満足できない。まだ最高のグラウンドを選手に届けられていないから」と、黙々と芝の手入れを続けている。

 サッカーW杯がロシアで開催され、Jリーグが中断されていたことし6月。20年余り手入れしてきた同スタジアムの天然芝をすべてはがし、新たに天然芝の中に人工芝を混在させて強度を高めた「ハイブリッド芝」に張り替えた。ピッチの回復は早くなったが、課題は品種が変わった天然芝の生育。柴田さんは「20年の経験をもとに横浜の気候やスタジアムの立地を生かし、どう芝を育てるか」と知恵を絞る。

 決勝会場に決まる前、同スタジアムでラグビーが開催されたのは開場した1998年の数試合のみだった。2015年9月、前回のイングランド大会で日本代表が強豪・南アフリカ代表を破る大金星を挙げて日本中が熱狂する中で、決勝の代替会場に選出された。当初予定されていた新国立競技場の計画が二転三転してラグビーW杯に間に合わなくなったためだ。

 「サッカーとは文化が全く違うラグビー決勝を迎えるのか、と素直な驚きだった」。当時、イングランド大会を視察していた柴田さんは振り返る。五輪、サッカーW杯に次ぐ世界最高峰のスポーツイベントの決勝が到来することになり、急ピッチで対応を進めた。

 翌16年にトップリーグの試合を初開催、17年11月には初めて日本代表戦が実施されたが、スクラムや密集でのプレーで、芝がめくれるなど大きく損傷。国際統括団体・ワールドラグビー(WR)からは「大会スポンサーへの敬意でテレビ映りも大事」などと指摘を受け、ハイブリッド芝導入は不可避だった。

 日産スタジアムでは20年東京五輪の男子サッカー決勝も予定され、3大大会の決勝が行われれば世界初の快挙だ。

 02年のサッカーW杯では日本代表が横浜で初勝利を飾って躍進し、決勝ではロナウド選手(ブラジル)が2ゴールを決めて歓喜の舞台となった。だが、残念ながら同スタジアムがその後、日本サッカーの“聖地”になったとは言い難い。

 だからこそ、来秋はビッグチャンスだ。世界ランキング7位のスコッドランド代表と横浜でぶつかる日本代表が再び世界を驚かせ、11月2日の決勝で名勝負が生まれれば…。柴田さんは「名誉だし大きな重圧も背負う。世界最高のグラウンドを作るため、ラグビーW杯がスタート地点になる」と、そのための舞台づくりに力を注ぐ。

◆ハイブリッド芝 天然芝に人工芝を混在させることで激しい利用にも耐えられる。今年開催されたサッカーW杯ロシア大会では12会場中10会場で導入された。日産スタジアムでは人工芝が編み込まれた基布に天然芝を植え付け、根や茎を絡ませて補強する方式を採用した。2019年ラグビーW杯会場では日産スタジアムをはじめ、ノエビアスタジアム神戸、釜石鵜住居復興スタジアムなど計5会場で使用予定。


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