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広まれ、走る喜びの輪 陸上・末続選手ら発案 平塚にランニングクラブ

スポーツ 神奈川新聞  2018年12月31日 01:10

誰でも参加できるランニングクラブを発足する末続選手(左)と荒川コーチ
誰でも参加できるランニングクラブを発足する末続選手(左)と荒川コーチ

 北京五輪の陸上男子400メートルリレー銀メダリスト、末続慎吾選手(平塚市在住、38歳)らが年明けから、長年温めてきた一般向けのランニングクラブの活動を本格化させる。今なお一線で走り続ける現役スプリンターのコンセプトは、世代を超えて誰もが参加できる「走っても、走らなくてもいい自由な場所」。スポーツ界に一石を投じるプロジェクトが神奈川から動きだす。

 年齢制限なし。経験の有無も問わない会員制クラブ。走りたい人は走り、そうでない人は見学するだけでも構わない。本格的に技術を磨く人がいても、友達づくりの場であってもいい。そんな多様な人々がつながるコミュニティーの広がりを、末続選手は思い描く。

 発起人の末続選手をクラブの「顔」に立て、プロジェクトに共感するコーチが現場で指導する。本拠地は末続選手の住む平塚だ。これまで3万人以上を教え、「日本で最も多くの足を速くしてきた」とも呼ばれる荒川優コーチ(29)を同地区の支部代表とし、来年から週2回ペースで2時間程度の陸上教室を開いていく。末続選手は「ユニークな名物指導者がいる」といった拠点を県内各地につくり、ゆくゆくは全国、そして海外まで拡大していく構想を明かした。

 普及活動を思い付いたのは2008年の北京五輪後。当時、末続選手は極度に手が震える原因不明の症状に襲われていた。「死ぬかもしれない」とまで苦しんだ希代のランナーはメダル獲得後、長期休養に入り、表舞台から姿を消した。

 日本のトップ選手として、常に結果を求め続けられた。優勝してもタイムが伸びず、観客のため息が漏れ響いたこともあった。窮屈な勝利至上主義の現実。誰のため、何のために走っているのかという疑問と重圧は年々積もり、心身をむしばんでいった。「いま日本が抱えているスポーツという文化に対する考え方、価値観の中ですごく頑張ったけれど、僕は単純にそれが違った。それが答えではなかった」

 9年ぶりに出場した昨年6月の日本選手権で再び走る喜びを取り戻し「引退という価値観の先にも必ず、生涯スポーツとしてのシーンがある」。それを証明するため現役にこだわる。

 中高生を中心とした部活動の場でも、末続選手と同じように苦しむ子どもたちは少なくないという。「勝利至上主義を経験することは競技性の中では絶対に必要。ただ、それで完結してしまい、脱落したら救いようがない。もっと自由でいい」と指摘する。これまでに部活を辞めた生徒を何人も指導してきた荒川コーチも「みんな最初は純粋に走ることが楽しかったはず。だから人生が豊かになるような場所にしたい」と言う。

 クラブ名は「EAGLERUN(イーグル・ラン)」。大空を優雅に舞うワシを見上げ「あんな風に自由に走れたらなあ」との願いを込めた。将来的には全国、海外の会員を集め「国立競技場を埋めて駆けっこをしたい」という。「そうなったら大会じゃないよね。もうフェスだよ」と楽しそうに笑った。
  ◇
 「EAGLERUN RUNNIG COMMUNITY」平塚支部は、設立記念のプレイベントで参加者を募集。来年1月20日、Shonan BMWスタジアム平塚。参加費3千円。申し込みはEAGLERUNのサイト(https://eaglerun.jp/event)


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