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遺族「早期に解消を」
危険バス停の対策本格化  横浜・女児死亡事故で移設へ

社会 神奈川新聞  2018年12月30日 17:00

横断歩道と近接する危険なバス停。停車したバスは横断歩道をふさぎ、後続車が追い越そうとするケースも目立つ =横浜市神奈川区
横断歩道と近接する危険なバス停。停車したバスは横断歩道をふさぎ、後続車が追い越そうとするケースも目立つ =横浜市神奈川区

 横断歩道と近接し、バスの停車時などに死角が生じることで事故を誘発しやすいとされる「危険なバス停」の対策が本格化している。8月末に横浜市で、降車したバスの後ろを回って横断した小学5年の女児=当時(10)=が対向車にひかれて亡くなった事故がきっかけになった。女児の遺族は「幼い命が犠牲になって初めて対策が動きだすのは無念」としつつも、一日も早い危険なバス停の解消を願っている。

 事故のあったバス停「三ツ沢南町」(横浜市神奈川区)について、市交通局は12月の市議会で、現在地から約30メートル移設する案を提示した。県などの協力を得て隣接する県立横浜翠嵐高校の敷地を活用、歩行スペースの新設にめどが付いたため、移設に向けた環境が整った。

 現状のバス停は、横断歩道との間隔が5メートルほどで、事故時は横断歩道をまたぐ形でバスが停車していた。女児が横断しようとしたバス後方は、対向車の死角になっていたとみられる。

 同局によると、このバス停の設置時期は定かでないが、路線自体は昭和30年代後半には開設されていた。現在は1日当たり600人近い乗降客がある。すでに視認性を高める交差点のカラー化や、バスの直前・直後の横断に注意を促す立て看板を設置するなどした。

 同局は「宅地開発に伴い設置当時に比べて道路環境は大きく変わった。利用客も多く、関係機関と協力してバス停の移設も含めた総合的な安全対策を講じていきたい」としている。

優先度決め調査


 事故を受け県警は11月、信号機がなく横断歩道に近接した同様の形状のバス停84カ所(危険度の高い順にA9カ所、B32カ所、C43カ所)の名称を公表。12月からバス事業者、道路管理者と合同で現地調査を進めている。

 対策の優先度が高いとされたAの調査はすでに終了。うち「久保」(同市栄区)は、江ノ電バス横浜が横断歩道から約20メートル先に移設した。2015年に人身事故があった「さつきが丘」(同市青葉区)も、市が本年度中にも隣接する市有地に歩道を整備するのに合わせ、横断歩道から離す方針だ。

 ほかの7カ所もバス停を移設する方向で調整しているが、移設先の選定などで課題も少なくない。

乱横断の懸念も


 「バス停の移設先として住宅の前を選定しても、住民から『ごみが散らかされる』『家の中をのぞかれている気がする』などの理由で嫌がられることが多い」。各バス事業者はそう口をそろえる。滞留スペースの確保や、バス停が横断歩道から離れることでかえって危険な乱横断が増加する懸念もあり、移設先探しは容易ではない。

 あるバス事業者は「悲惨な事故を繰り返さないとの思いは共通だが、各バス停で交通量や利用客数、道路環境などは異なる。周辺住民との合意形成に努め、丁寧に進めることが必要」と指摘する。

犠牲者出る前に


 「海やスケートに連れて行ったことを思い出す。亡くなる1カ月ほど前にはボウリングを一緒に楽しんだ。私には生意気に映るくらい真っすぐで活発な子だった」。女児の親族の男性(70)は、在りし日の女児の姿が脳裏から離れないと明かす。

 県警は1997年、バス停の新設・移設に際し「横断歩道から30メートル離す」などの基準を事業者側に指導している。それならばと、男性の胸中には苦い思いも広がる。「97年以前に設置されたバス停であっても、現行の基準に合わなければ危険と認識して事故を未然防止する取り組みが必要だったのではないか。県内全域で早期に危険なバス停を改良するとともに、犠牲者が出て初めて対策に動く姿勢はこの問題に限らず改めてほしい」と関係機関に求めた。


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