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訪日客や火山影響で幕
修学旅行ニーズ増えるも宿が… 箱根学生旅館連盟解散へ

社会 神奈川新聞  2018年12月28日 17:00

箱根町と箱根学生旅館連盟が定期的に発行してきた「箱根~修学旅行のためのガイドブック」
箱根町と箱根学生旅館連盟が定期的に発行してきた「箱根~修学旅行のためのガイドブック」

 国内屈指の観光地・箱根で長年にわたって修学旅行客の誘致を進めてきた箱根学生旅館連盟(川辺ハルト会長、会員旅館・ホテル7軒)が今月末で解散し、64年の歴史に幕を下ろす。インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加や、箱根山・大涌谷周辺の火山活動活発化の影響など、旅行業界を取り巻く環境の変化に立ちゆかなくなった。連盟の関係者は「修学旅行で地域の歴史と文化に触れたいというニーズは増しているが、対応する宿泊施設がないという需給ギャップが生まれている」と現状を憂いている。

 連盟は1954年に発足。当時は旅館・ホテル41軒が加盟し、その10年後に東海道新幹線が開通すると、春は名古屋周辺の中学生、夏は横浜・川崎からの林間学校、秋は千葉・埼玉・栃木の小学生と、一年を通じてにぎわいがあった。

 昭和40年代は年間約70万人を記録するなど、これまでに延べ約1千万人の児童・生徒を受け入れた。箱根町と共同で「箱根~修学旅行のためのガイドブック」を発行。大人にも役立つ歴史や見どころを満載した72ページの冊子は各学校に配布され、誘致のツールとなっていた。

 横浜市教育委員会によると、90年代前半は多くの小学校が箱根を宿泊先としていたが、昨今は愛川町や静岡・御殿場、山梨・河口湖など学校ごとの目的に合わせて分散しているという。

 さらに追い打ちをかけたのが大涌谷周辺の火山活動活発化だ。噴火警戒レベルが上がった2015年は4925人と、前年の4万5753人から激減。16年は2万人台に回復したものの、17年は再び8416人まで落ち込んだ。

 一度に大勢の児童・生徒を受け入れる一方、水筒に水を入れるなどきめ細かい対応にも心を砕いてきた。「真心を込めて、一生懸命に教育行政の一端を担ってきた自負があるだけに一抹の悲しさが残る」と川辺会長(きのくにや旅館社長)は振り返る。

 川辺会長によると、大人数になる修学旅行の受け入れには、10人程度が寝られる大部屋や20人以上が同時に入れる大浴場、100人が集える食堂など、団体客向けの設備が必要だ。

 しかし15年春以降、火山活動の活発化で宿泊地を変更する学校が相次いだ。修学旅行は1、2年前から予約を受けることが多く、行き先が一度変わると3年間は影響が続くとみられる。その間、インバウンドに対応するため、建物を改修し大部屋を個室に変える宿も出てきた。

 連盟はこれまで、首都圏の小学校を訪れたり、旅行会社に声を掛けるなど誘致活動を展開。そのためのプロモーション費用を会費で捻出してきたが、その予算もなく、今月14日に総会を開き、同31日で解散することを決めた。専用ホームページも閉鎖する予定だ。

 「解散は一つの歴史が終わったのかなと思う」と田中通副会長(箱根高原ホテル社長)。とはいえ、児童・生徒は将来のリピーターになり得る大切な存在だ。解散後も「子どもたちの受け入れを継続する形をつくらないといけない」と対応策を模索する。

 連盟は、小田原、箱根、真鶴、湯河原の1市3町の自治体などでつくる「西さがみ教育旅行誘致推進協議会」からも離脱する予定。今後は105の旅館・ホテルが加盟する箱根温泉旅館ホテル協同組合(同町湯本)が後継組織として役割を担う方向で調整が進められている。


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