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家族の絆を問う感動作 【それだけが、僕の世界】

カルチャー 神奈川新聞  2018年12月25日 09:39

 ストーリーの良さはもちろん、俳優陣の演技のうまさに舌を巻く。落ちぶれた元プロボクサーのジョハ(イ・ビョンホン)=写真右。17年前に別れた母インスク(ユン・ヨジョン)と再会し、初めて会う弟ジンテ(パク・ジョンミン)=同左=と共に暮らすことに。粗暴なジョハにおびえるジンテは、自閉症スペクトラム障害で特定の分野に驚異的な能力を発揮するサバン症候群。ピアノを弾くと天才的な才能を見せる。

 ちぐはぐながらも3人の生活が落ち着くかと思われた頃、ジンテをピアノコンクールに出場させるように頼み、インスクは家を空けてしまう。

 ジョハは孤独な男だ。自分を捨てた母親への愛憎。弟に対する戸惑いと次第に芽生える愛情。家族としての思いに揺れ動く。そんなジョハを、抑えた演技でイがじっくり見せる。

 パクは、サバン症候群独特の視線や指の動きを研究し、ジンテの存在感を際立たせた。何でも「ネ~(はーい)」と答えるジンテだが、実は嫌がっているなどの微妙な違いをさりげなく表現し、実にうまい。

 ジンテのピアノが人々をつなぐ鍵となっていくが、こちらも撮影3カ月前から猛特訓し、ショパンやベートーベンなど高度な曲の数々を代役なしで弾きこなし、徹底した役作りを行った。

 演技巧者がそろい、ユーモアを込めて家族の絆を温かく描いた感動作が誕生した。


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