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農家への影響懸念も
消えた三段の滝 栗原川上流の流量減少 伊勢原

話題 神奈川新聞  2018年12月23日 17:00

(左)水が流れていたころ(右)水が枯れた「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮(川添市議提供)
(左)水が流れていたころ(右)水が枯れた「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮(川添市議提供)

 伊勢原市内を流れる栗原川上流の「三段の滝」(同市三ノ宮)で今夏から水が枯れた状態が続き、川の流量も減っていることが分かった。市は因果関係が不明としつつも、滝周辺の山中で進められている新東名高速道路のトンネル工事が影響した可能性を排除できないとして、事業主体の中日本高速道路に原因究明などを要請した。地元では川から取水している農家などへの影響を懸念する声が出てきている。

 18日の市議会本会議で、市が川添康大氏(共産)の一般質問に明らかにした。

 市や関係者によると、三段の滝は山腹にある高さ約5メートルの滝で、市内の名所の一つ。7月末に上流近くで田畑を耕作している市民から「栗原川の水が減っている」との相談が寄せられ発覚した。三段の滝や、市が管理する準用河川の栗原川(約3300メートル)は山の湧き水などが源流で、市は湧き水の減少が影響した可能性があるとみている。

 市は市議会での答弁の中で、滝の北側で掘削作業などが進められている新東名「高取山トンネル」の工事について言及。「工事が引き起こした可能性が全くないと断定できない」として、中日本高速道路に原因究明や水量の回復を要請したことも明らかにした。

 中日本高速道路厚木工事事務所(厚木市)によると、新東名で県内最長となる全長約3・9キロの同トンネルは昨年6月に着工し、2020年度の完成予定。工事と水枯れとの因果関係に関して「具体的に答えられることはない」とコメントした。

 同事務所は対応にもあたっており、8、9月に散水車で栗原川上流の水田へ水を供給したほか、10月からは水量を回復させる地下水を確保しようと、ボーリング調査を滝近くで実施。ただ地下水が出るには至っていないという。

 栗原川の流量減少による影響が懸念されるのが農業だ。伊勢原市によると、上流から農業用水を引き、散水車から水の供給を受けたのは稲作農家2軒、畑作農家1軒。上流近くで農業を営む男性(60)は「水がなくては田んぼもできない。周辺の人も栗原川の水を使っているが、水不足で困っている。自然のことだからどうにもならないが、来年以降どうなるか分からない」と心配する。

 既に余波も出ている。地元の比々多神社(同市三ノ宮)は毎年11月に商売繁盛などを祈願する「酒祭(さかまつり)」のために、三段の滝でお水取り神事を執り行うが、今年は滝の水が枯れたため、別の場所の湧き水を使ったという。

 同神社禰宜(ねぎ)の永井武義さん(52)は「水枯れは過去に聞いたことがない。伝統行事なので何とか続けたいが…。田んぼで水を使っておられる人もいるので、生活に影響するのがつらいところ」と語った。

 市は今後について「(中日本高速道路の対応を)注視し、適切に対応したい」と説明。また市議会で市独自の調査に関して問われた高山松太郎市長は「今、原因究明をしていただいている。重要な問題だと認識している」と述べた。


水が枯れた「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮
水が枯れた「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮

水が流れていたころの「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮(川添市議提供)
水が流れていたころの「三段の滝」=伊勢原市三ノ宮(川添市議提供)

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