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三浦初声高校の齊藤輝さん
横須賀の高校生、待望の初出荷 「消費者求める農家に」

話題 神奈川新聞  2018年12月21日 01:47

実家の畑で、ニンジンを収穫する齊藤さん=横須賀市武
実家の畑で、ニンジンを収穫する齊藤さん=横須賀市武

 横須賀市内に住む高校生が20日、実家の畑で育てた野菜を、JAよこすか葉山の農産物直売所「すかなごっそ」(同市長井)に初出荷した。登録農家が野菜を並べる同直売所で、高校生が登録・出品するのは初めて。丹精を込めて栽培したニンジンを運び込み、「新しい一歩を踏み出せた」と笑顔を見せた。

 この“高校生ファーマー”は、県立三浦初声高校農業科2年の齊藤輝さん(17)。同市武の約30アールの畑を、1人で切り盛りしている。

 初出荷に向け、19日の放課後にニンジン約80本を収穫。泥を水で洗い落とし、4、5本ずつ袋に詰めた。20日朝、自転車で近所の農家に届け、トラックで一緒に運んでもらった。

 「葉付きで新鮮さも売りにできると考え、市場価格も参考に値付けした」と齊藤さん。屋号の「本崎農園」の値札シールを貼って商品を並べ、「自信作なので売れてほしい」と期待した。

 齊藤さんは幼少期から祖母に手を引かれ、畑の野菜や土に親しんできた。5歳の頃、「何が欲しい?」と聞かれて「キュウリの苗」と答えるほど、野菜が育っていく様子を眺めるのが好きだった。

 小学生で祖母の農作業を手伝うようになり、中学進学後は畑に出る機会の減った祖母の分まで汗を流した。孫が収穫し、祖母がトラックを運転して青果市場に運んだ。

 昨年冬、直売所に出荷するアイデアを祖母に伝えた。キャベツの価格が乱高下し、実入りが安定しなかったからだ。「『自分が作ったからうまいぞ』と言っても、市場だと他と一緒に値段が付けられてしまう。高校で学び、違う野菜も作れるから、試してみたかった」と振り返る。

 二人三脚で畑をつないできた祖母は、孫の挑戦を見ることなく、今年5月に亡くなった。齊藤さんは夏からニンジン、サニーレタス、ブロッコリー、ミニ白菜、カブを栽培し始めた。高校の実習で知り合った、市場ニーズに合わせた経営をする若手農家に触発された。「サラダ用の需要が増え、ミニ白菜などが人気と聞いた。消費者が求めているものは何かを考えた」

 学業の傍ら、平日は早朝と放課後、週末は終日、日が暮れるまで作物との対話を重ねる。後継ぎとしての自覚も既にできている。

 「祖母は昔から周囲に『うちの跡取りだよ』と紹介してくれ、とても大事にしてくれた。近所の農家も応援してくれている。畑を守り、消費者が求める農家になって役目を果たしたい」と力強く語る齊藤さん。そして胸を張った。「今日の出荷は、きっと祖母も喜んでくれている自信がある」


自ら育てて袋詰めしたニンジンを、店頭に並べる齊藤さん=20日午前8時ごろ、すかなごっそ
自ら育てて袋詰めしたニンジンを、店頭に並べる齊藤さん=20日午前8時ごろ、すかなごっそ

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