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養護施設出身の若者に奨学金、公的制度へバトンタッチ 
「カナエール」夢かなえ幕 

社会 神奈川新聞  2017年06月22日 13:41

コンテストに参加する男性(右から2人目)と話す、(左から)渡辺さん、金井さん、臼杵さん=東京都内
コンテストに参加する男性(右から2人目)と話す、(左から)渡辺さん、金井さん、臼杵さん=東京都内

 ◆7月コンテスト、スピーチ練習佳境に
 児童養護施設出身の子どもに奨学金を支援するプログラム「カナエール」(カナエール2017実行委員会主催)が、本年度で活動に終止符を打つことになった。国の給付型奨学金制度など、公的な支援体制が整いつつあることが理由だ。最後の行事は、7月に横浜など全国3カ所で開催するスピーチコンテスト。主役になる若者らがラストスパートをかけている。

 カナエールは、NPO法人ブリッジフォースマイル(東京都)の運営で2011年に始まった。家庭の事情などで大学や専門学校への進学が難しい施設出身の若者が、一時金30万円、卒業まで毎月3万円の返済不要の奨学金を受け取れる。

 奨学生は自分の夢などを語るスピーチコンテストに参加することが条件で、年長のボランティアらのサポートを120日間受けながら自分自身を見つめ直し、夢への意欲を高める。コンテスト後も、定期的に会う機会を設け、卒業まで支援する。

 奨学生はこれまで124人で、計1億4300万円を給付した。一方で、施設退所者らに国の給付型奨学金が17年度から先行して給付され、ほかに自立支援資金の貸し付け制度ができた。同法人は「NPOの使命は課題を解決すること。公的な制度ができて資金の面は解決されつつあるので、次の課題に取り組んでいきたい」と話す。

 掉尾(ちょうび)を飾る7月のスピーチコンテスト。横浜会場では、横浜市在住・在学者を中心に、6人が登壇する。

 仙台市に住む専門学校1年生の男性(20)もその1人。小学1年生から高校を卒業するまで、短い期間を除いて同市内の児童養護施設で生活した。コンテストに向けて練習や打ち合わせを重ね、「最初は駄目だったけど、慣れと環境でだんだん変わってきた」と話す。

 男性を支援するボランティアは金井浩さん(38)=海老名市、渡辺宏一郎さん(44)=東京都練馬区、臼杵志乃さん(37)=同墨田区=の3人。男性とスピーチの内容を練り、会場で当日流す動画を作っている。「4カ月ほどの活動を通じて、成長を肌で感じられる」(金井さん)、「『120パーセント出し切りたい』という彼の目標をやりきってほしい」(渡辺さん)と見守る。

 男性は、料理人になる夢を語る。「やるからには自分に対してごまかしたくない。僕が不安でなければボランティアの方も余裕が持てると思うので、頑張りたい」と気を引き締める。

 コンテストは、鶴見公会堂(横浜市鶴見区)で7月1日午後1時から。一般5千円、18歳以下1800円。入場料は若者支援事業に使われる。問い合わせは、同法人電話03(6842)6766。


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