1. ホーム
  2. 社会
  3. 奨学金問題・弁護士は訴える 「貧困ビジネスだ」

奨学金問題・弁護士は訴える 「貧困ビジネスだ」

社会 神奈川新聞  2016年09月14日 14:18

奨学金問題で講演する岩重弁護士=横浜市中区
奨学金問題で講演する岩重弁護士=横浜市中区

 学生を対象に金銭を貸与・給付する奨学金制度。学費の高騰を背景に、大学生の2人に1人が利用している。ところが、貸与を受けた利用者が卒業後、不安定な収入から返済を滞納せざるを得なくなるケースが相次ぎ、社会問題化している。奨学金問題に詳しい弁護士の岩重佳治さんは、返済義務のある貸与型に偏重した運営のあり方を問題視し、「貧困ビジネスだ」と訴えてきた。市民団体「反貧困ネットワーク神奈川」が横浜で開いた学習会での講演を紹介する。

滞納リスク内在


 学生が最も多く利用しているのが日本学生支援機構の貸与型奨学金制度。無利子貸し付けの1種と利子がある2種があるが、1種は枠が少なく、2種を選ばざるを得ない人が多い。

 そもそも海外では奨学金は給付が当たり前。貸与型は学生ローンであり、本来は奨学金とは呼ばない。貸与型が他のローンと違うのは、将来の仕事や収入が分からない状態で利用することにある。借り入れ額が多額な上、返済期間が長期にわたるため、滞納のリスクは最初からこの制度に内在している。

 2004年に日本育英会が廃止され、奨学金事業が同機構に引き継がれると、同事業は「金融事業」と位置づけられて金融的手法が導入され、回収強化策を進めてきた。

 延滞3カ月になると、個人信用情報機関のいわゆるブラックリストに登録され、延滞4カ月になると、債権回収業者による回収が行われる。延滞9カ月になると多くの場合、支払督促という裁判所を利用した手続きが行われ、その件数は06年度の1181件から、14年度には8495件と飛躍的に増加している。

 裁判所で1日に何件か支払い請求訴訟がある。奨学金を返せない若者が肩を震わせて、申し訳なかった、少しずつ返したいと述べる姿は、見ていてつらい。

延滞金に追われ


 返済が大変なのは元金だけではない。返済が滞ったときに発生する延滞金の負担が大きい。

 よくある話は、親が返していると思い違いした人に、長年たって機構から請求が来たケース。実は親は返しておらず、元金は200万円なのに、延滞金は300万円というケースは珍しくない。

 延滞金は機構の経常収益、つまりもうけに計上されている。利用者にとって延滞金の負担は大きく、返済金は延滞金から充当されるため、返しても返しても元金が減らない。その間にさらに延滞金が発生し、延滞金を払い続けて一生借金漬けということが起きている。

 問題なのは、将来の分も含めて一括で請求される「繰り上げ一括請求」が起きていることだ。一定期間返済が滞ると、本来の返済期限が来ていない将来分を含めて一括で請求するものだ。

 なぜ繰り上げ一括請求をするのか。機構の規定では「返還能力があるにもかかわらず、返還を著しく怠ったとき」に行うとされているが、実際は、病気や所得が少ないなど明らかに返済能力がない人にも一括請求されている。機構は「連絡もなく、救済も求めない人は、返済能力があると認識せざるを得ない」と説明するが、これは乱暴というほかない。

救済制度を利用


 返済ができなくなったらどうすべきか。救済制度をすぐに使うことに尽きる。

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら


シェアする

編集部のおすすめ

アクセスランキング

  1. 40代男性がはしかに感染 横浜

  2. 伊勢丹相模原店跡、複合ビル建設を検討 野村不と売買交渉

  3. ロマンスカー車内でわいせつな行為・小田急車掌を逮捕/神奈川

  4. 横須賀市内で5900軒停電

  5. 横浜高島屋が開店60周年 鳩サブレー缶など限定販売

  6. 動画 はっけよい…ぎゃー! 比々多神社で泣き相撲

  7. 稲村ケ崎海岸の沖合に女性遺体 鎌倉署が身元など捜査

  8. 閉店セール、開店前に行列も 伊勢丹相模原店

  9. 【写真特集】台風15号の被害状況

  10. 保育園埋設の放射性汚染土問題 横浜市が保護者に相談会