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テレワーク利用3倍に 富士ソフトがICT活用し導入

経済 神奈川新聞  2017年06月11日 10:09

母親の介護をきっかけにテレワークを始めた富士ソフトのエンジニアの鈴木さん=相模原市中央区
母親の介護をきっかけにテレワークを始めた富士ソフトのエンジニアの鈴木さん=相模原市中央区

 情報通信技術(ICT)を活用し自宅など社外で勤務する「テレワーク」。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の観点から多くの企業で導入が進んでおり、ソフト開発の富士ソフト(横浜市中区)では2013年から対象を全社員に拡大した。昨年度は利用が延べ2893人と13年度の3倍超に達した。

 「最初はなかなか踏み切れなかったのですが」。そう振り返るのは母親が昨春に介護認定を受け、テレワークを始めた同社エンジニアの鈴木博さん(54)だ。顧客のシステム統合を企画する業務などを担当し、社外との打ち合わせも少なくない。ためらったが、母親の症状の進行を考慮し、昨年末から相模原市中央区の自宅で月4~6回の在宅勤務を始めた。

 テレワークは数々のICTが支える。大きな支えの一つは自宅のパソコンから通信を介し、会社の自席パソコンを仮想的に操作できる「リモートアクセスツール」。近年の通信環境の改善で遅延なく作業ができ、データは自宅側の端末に保存できない仕様でセキュリティーを担保している。

 スマートフォンのアプリも複数活用。出退勤の報告や母親の送迎など私用外出の必要がある場合はアプリを利用し連絡・記録。テレビ会議や電話の打ち合わせでは、モニターに表示した資料に書き込みなどがリアルタイムに反映される資料共有アプリを使う。

 テレワークで、秋葉原のオフィスに通う往復4時間超の時間を家族のそばで過ごせるように。「介護にあたってくれていた妻の不安や負担を軽減することにも充てられた」。母親は今春に亡くなったが、今なお定期的に在宅勤務を続ける。「人と会う予定がある時には出社すればよく、在宅でも基本的に会社と同じ仕事ができた。始めることが大事だった」とした。

 同社では「IT業界の長時間労働のイメージを変えていきたい」と、1990年にコアタイム(出勤義務のある時間帯)なしで働きやすい時間に働けるフルフレックスタイム制の導入など早期から働き方の見直しを続けてきた。テレワークを全社員に広げたのは、東日本大震災後に事業継続性を見直す一環で機運が高まったほか、テレワークを実現する製品を顧客に提案する実践の意義も見いだしたからだ。

 「多様な働き方の選択肢を用意することは人材の確保、競争力の維持にも寄与すると考えた」と同社幹部。テレワークだと周囲の目が届かず生産性が落ちる、との懸念もあったが「『さぼっていないだろうか』と思われないようにかえってコスト意識が高まり、必要な成果を上げている。支障は出ていない」。

 全社的に根付いてきたこともあり、管理職やスペシャリストと呼ぶ高度な技術者も利用する。「夏場の台風や冬の感染症流行期といった災害非常時も社員が自発的に在宅を選び、業務が続けられるようになった」という効果も出ている。


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