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【職場のいま】女性運転手確保へ妙手 タクシーに専用車、時短も

経済 神奈川新聞  2017年05月30日 13:07

神奈中タクシーホールディングスが事業子会社で導入した「MINI」(ミニ)のタクシーに乗り込む女性運転手=茅ケ崎市
神奈中タクシーホールディングスが事業子会社で導入した「MINI」(ミニ)のタクシーに乗り込む女性運転手=茅ケ崎市

 運転手不足に悩むタクシー業界で、神奈中タクシーホールディングス(HD、厚木市)が女性ドライバーの獲得で奇策に出た。1年ほど前から女性運転手の専用車両として独・BMWの「MINI」(ミニ)のスタイリッシュで色鮮やかなハッチバック車を地域限定で導入した。女性は潜在ドライバーを掘り起こせる余地があると見込み、社に関心を持ってもらう象徴として走らせる。女性運転手の拡大は道半ばだが、集客面では成果が出始めた。 
 「こんなクルマに乗れるなら働いてみたい、と思って」。HD傘下で茅ケ崎市に営業所を置く神奈中サガミタクシーで昨春から運転手として働き始めた羽鳥萌さん(24)は、そう振り返る。新聞の折り込み広告の募集でミニに乗れると知り、応募。タクシー車両として一般的な黒塗りのセダンなどに比べ、魅力は大きかった。

 女性人材の獲得に向け用意したのは車両だけではない。短時間で働け、必要があれば帰宅もできる「フレックス・コア制」という勤務体系を選べるようにした。日中6時間半を実働時間とし、それ以上は裁量に任せる仕組みだ。介護や子育てと向き合う女性も安心して長く働き続けてもらうための提案だ。

 羽鳥さんも短時間勤務を選択。繁忙期は夜間まで働くことがあるが、基本は午前8時から午後3時半までで、1日平均15~20組を乗せる。入社1年が過ぎた現状を「続けていけるという自信が出てきた。働きだせてよかった」と話した。

 同HD傘下の9社のうち、神奈中サガミと相模中央交通の2社で計4台のミニを導入。結果的にミニを希望した新規入社が羽鳥さんなど2人にとどまったため、他の車両は子育て中などの先輩の女性ドライバーが乗務する。

 新規の人材獲得は今後も継続課題だが、集客面では成果が上がってきた。道路を流していると、バス停でバスを待つ人から「ミニなら乗ってみたい」と手が上がる。4台は赤、青、黄、緑と色とりどりで、リピーター客から「子どもが今日は青に乗りたいと言っている」と配車を求める電話がかかるといった具合。

 ただし本来、タクシー仕様でない車両を使う弊害もある。通常のタクシー車両よりも多くの維持費を織り込まねばならず、「小さい車なのに従来と同じ料金を取るのか」「荷物が十分積み込めなかった」とのクレームが寄せられる実情もある。

 だが同HDではこう話す。「デメリットも確かにあるが、多様な人材を確保することがグループの競争力の維持でも大事なこと。ミニの継続を通じ、女性にもっと入社してもらいたいとのメッセージを発信し続ける」。車両はグループ工場を抱える利点を生かし、長寿命化に努めていく。

 今年度も、カラフルな車体色の小型車を十数台導入する予定だ。担当者は「就業を希望する女性の『乗ってみたい』と、お客さまの『乗ってみたい』をともに実現したい。女性入社の間口を広げ続けていく」と述べた。


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