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経営苦しく正念場のコミュニティFM、災害放送で差別化や新たな収益源模索も/神奈川

社会 神奈川新聞  2010年05月11日 12:21

3月に開局した「むらラジやまラジ836」のスタッフ=清川村
3月に開局した「むらラジやまラジ836」のスタッフ=清川村

県内のコミュニティFM放送局が正念場を迎えている。災害放送などで期待される半面、景気の悪化による広告収入の減少などで経営環境が厳しいためだ。新たな収益源を模索する動きも出てきた。

清川村に3月、「むらラジやまラジ836」が開局した。県内では12局目。「災害情報の発信や地域住民の情報の共有と交流」(朝倉徳男社長)を目指す。

放送区域内の世帯数は県内最少だ。第三セクター方式の局が多い中、自治体の出資を受けていない。加えて景気低迷の逆風下での開局。志村寧子放送局長は「放送はボランティア2人が担うことで人件費を抑えている。広告収入で年間約400万円の運営費は確保したい」と意気込む。

県内ではほぼ全局が放送対象地域の自治体と防災協定を結ぶ。緊急時の割り込み放送などが柱だ。

FMおだわらは「災害時の放送に最も重きを置いている」。リスナー獲得競争は厳しいが「災害時に地域情報をリアルタイムに流せるのはうちだけ」と差別化を図る。住民からの期待も高いという。警報が出ると24時間態勢で対応し、公共交通などとの連絡網も構築。小田原市内在住の気象予報士とも独自に契約している。

どの局も経営基盤の強化が課題だ。自治体から請け負う広報番組への依存度が高いところが多い。スポンサー企業からの広告収入は「昨年度は落ち込みはなかったが、本年度に入り余波が来ている」(湘南ビーチFM)など、不況の影響が出始めている。

さらに1990年代に開局した放送局は設備更新も迫る。「売り上げの90%以上は年間運営費に充てられる。もともと利益が少ないため機材の更新がネック」(FM湘南ナパサ)という悩みもある。

県外では3月、広告収入の減少などを理由にエフエム多摩(東京都多摩市)が閉局。4月には神戸市の県域局が破綻(はたん)するなど、取り巻く環境は厳しさを増している。

新たな手法で収益を確保する取り組みもある。エフエム戸塚は「放送だけで生き残るのは難しい」(福原稔取締役)との判断から、イベントの企画・開催と番組をセットで販売している。当日は生中継も行う。「イベントなら『集客が100人』という形で宣伝効果を示せる」(営業担当者)との狙いもあるという。昨秋には二つ目のスタジオを開設。今期は黒字転換を見込んでいる。

◆コミュニティFM放送局 市区町村など狭いエリアを対象に、超短波放送用の周波数を使用する放送局。総務省の無線局免許が必要。地域情報の発信などに特化し、災害放送の担い手としても期待されている。2004年の新潟県中越地震では地元局が被災者向けの情報発信に徹し、ライフラインや安否情報をきめ細かく伝えた。

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