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井上尚、圧巻KOで5度目防衛

スポーツ 神奈川新聞  2017年05月22日 02:00

2回、リカルド・ロドリゲス(左)を攻める井上尚弥=有明コロシアム(共同)
2回、リカルド・ロドリゲス(左)を攻める井上尚弥=有明コロシアム(共同)

 ボクシングのダブル世界戦が21日、東京・有明コロシアムで行われ、世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)は同級2位のリカルド・ロドリゲス(米国)に3回1分8秒でKO勝ちし、5度目の防衛に成功した。国際ボクシング連盟(IBF)ライトフライ級王者の八重樫東(大橋)は暫定王者ミラン・メリンド(フィリピン)との統一戦に1回2分45秒でTKO負けし、3度目の防衛に失敗した。同級の世界戦で最短KOタイムとなった。

場内一変の破壊力


 怪物の拳には暗雲を切り裂く力がある。井上は圧巻の3回KO。前夜の村田、セミファイナルの八重樫が苦杯をなめていた場内の重苦しいムードを一変させた。

 速射砲のような左ジャブで接近戦を好む挑戦者を突き放すと、威力を増した強打が待っていた。3回、左フックで最初のダウンを奪うと、1分8秒だった。

 「1ラウンドで相手の入り方は大体分かったので狙っていた」。またもカウンターの左フックが炸裂(さくれつ)。相手の左に合わせて顔面を射抜いた。

 有り余るパワーで拳のけがを重ねてきた教訓から、8割の力で繰り出した。だが「左フックのノリが今までとは違った」。試合1カ月前に異例の合宿を敢行。さらに減量と並行して10日前まで下半身を強化してきた。一打の破壊力は以前の比ではない。

 毎回進化した姿を見せてくれるのも24歳の魅力だ。2回にはサウスポースタイルにスイッチし、ストレートで膝を折った。「余裕があったし、試してみようかなと思った」。その裏に見据えるのは念願の米国進出だ。

 9月のビッグマッチへ強烈なインパクトを残した。世界4階級王者、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が陥落し、“戦国時代”に突入した軽量級。「もっともっとボクシング界を盛り上げていきたい」。本場のファンを熱狂させる日は近い。

八重樫 防衛に失敗


1回、ミラン・メリンド(右)にダウンを奪われる八重樫東=有明コロシアム(共同)
1回、ミラン・メリンド(右)にダウンを奪われる八重樫東=有明コロシアム(共同)


最短に笑うしかない
 八重樫がわずか1回2分45秒で散った。ライトフライ級の世界戦では最短タイムの結末だ。

 メリンドの左フックを浴びて1回目のダウン。ここから足元はふらつき、記憶もはっきりしなかったという。パンチをもらい、続けざまに2度のダウンで試合が終わった。会見場では調整不足を否定し「自分自身が何ラウンドで倒れたのか分からなかった」と笑うしかなかった。

 今後については「自分自身を奮い立たせるものがあれば立ち上がるし、いいかとなったらスパッとやめるかもしれない」。不屈のボクサーは競技人生の岐路と向き合うことになった。

「もっと強くなる」
 元東洋太平洋王者で横浜高出身の松本(大橋)が56・5キロ契約の8回戦で2回TKO勝ち。左ボディーから左フックのコンビネーションでインドネシア人選手を沈めた。1回TKO勝ちの3月に続く圧巻の内容も「世界戦がいつ決まってもいいように気は抜けない」と表情を引き締めた。

 副甲状腺の病気から復帰し3戦目。20日に比嘉大吾、拳四朗が新王者になったことも闘争心に火をつけたようで、この日5度目の防衛を果たした井上と同学年の23歳は「悔しさと尊敬する部分がある。仲間に入るために、もっともっと強くなる」とビッグマッチを熱望していた。

「倒せたことだけ」
 スーパーライト級8回戦で横浜高出身の平岡(大橋)が6回TKO勝ちした。相手の出足の鋭さに苦しみ、首を痛める不運もあったが、カウンター気味の左フック一発で仕留めた。顔を腫らした平岡は「きょうは悪かった。倒せたことだけ」と自虐的だった。

 2014年度の東日本新人王に輝いた20歳はアメリカで武者修行し、花形ジムからの移籍も経験。昨年10月までの約2年間、実戦から離れていた。平岡は「ボクシングで飯を食っていきたい。大橋会長が組んでくれる試合をやっていくだけですね」と謙虚に話した。


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