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「町の象徴」旧山口勝蔵別荘の買収に再挑戦/大磯町

社会 神奈川新聞  2010年03月08日 10:45

大磯駅前に構える歴史的建造物「旧山口勝蔵別荘」。現在はイタリアンレストラン=大磯町大磯
大磯駅前に構える歴史的建造物「旧山口勝蔵別荘」。現在はイタリアンレストラン=大磯町大磯

JR大磯駅前に立つ明治期末ごろの瀟洒(しょうしゃ)な洋館で、レストランとして使われている旧山口勝蔵別荘の買収に大磯町が乗り出していることが7日までに分かった。所有する不動産業者が民事再生中で、近く物件は競売に掛けられる見通し。「町の貴重な観光資源であり、民間の手に渡ると保存活用が約束されない」と債権者の金融機関と大詰めの交渉を続ける。町は2005年にも買い取ろうとしたが、金額面で折り合わず不調に終わった。「今度こそは所有したい」と再び挑んでいる。

洋館は、機械商として成功した山口勝蔵氏が別荘として相模湾を望む現在の敷地約945平方メートルに明治後期か大正初期ごろに築いたとされる。白亜の風格あるたたずまいは「町のシンボル」とも称される。より自由な設計が可能となるツーバイフォー工法を用いた建物では現存する最古とみられ、町は「景観や歴史的価値から極めて重要」(都市計画課)と位置づけている。

04年には当時の民間所有者が売却を表明。好立地のため多数の開発業者が関心を示す中で、町民有志が保存活用を求め、05年2月には6千人を超す署名が集まった。町議会も買い取りを承認。最大2億1千万円で交渉を重ねたが、結果的に横浜の不動産業者が入手した。補修された洋館はイタリアンレストラン経営者が借り受け、07年初めから営業を続けている。

再び事態が急転したのが、08年秋。リーマン・ショック以降、世界的な不況のあおりで、ほかの新興不動産業者と同じく、旧山口別荘を所有する不動産業者も事業が行き詰まり、民事再生法の適用を申請した。建物は金融機関の管理下に置かれた。

推移を見守ってきた町は昨秋ごろから競売の動きをつかみ、購入に向けて水面下で調整に乗り出した。財政難の中、約3億円の財源を確保して交渉に臨み、3月中に結論を出す構えだ。

風光明媚(めいび)な大磯には明治期から、政財界人の邸宅や別荘が数多く建ってきたが、所有者が維持できず手放す事例が相次いでいる。そうした遺産を観光事業にも役立てたい町は昨年4月、歴史的建造物を買い取る基金条例を制定したばかり。今回の交渉は、町にとっても一つの試金石となる。「購入できたら、町重要文化財だけでなく国の登録文化財も目指す」と、名実ともに町のシンボルとして生まれ変わらせる。

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