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障害者シンクロ、50歳の挑戦 真鶴の女性、全国大会へ

社会 神奈川新聞  2017年05月06日 11:28

練習で決めポーズをとる佐々木さん=湯河原町(本人提供)
練習で決めポーズをとる佐々木さん=湯河原町(本人提供)

 身体・知的障害者らの選手が演技する「障害者シンクロナイズドスイミング」。50歳で競技を始め、わずか2カ月の経験ながら初舞台で全国大会に挑戦する女性がいる。身体障害がある真鶴町の佐々木知亜紀さん(50)。オリジナリティーを重視して自作の曲で華麗な演技を披露する。

 潜水してプール中央まで泳いで飛び上がったり、手を大きく動かして体操を模したり、水中で逆立ちしたり…。湯河原町のスポーツクラブにあるプールの一角で、練習を重ねる。週4回ほど泳ぐほか、時間を見つけては自宅のリビングやベッドの上などでも振り付けの腕を磨く。「気付くと朝になっていたこともある」ほどの熱の入れようだ。

 障害者シンクロと出会ったのは昨年秋。国体の競泳競技に出場した際、同年代の女性選手から「シンクロをやっている」と聞いたのがきっかけだ。

 佐々木さんは変形性股関節症などの障害で脚に痛みを抱える。股が60度ほどしか開かず、しゃがむこともできない。競泳は国体で優勝するほどの実力だが、「シンクロなんて無理」と半信半疑だった。それでも、この女性選手らに誘われ、12月に京都府内のプールを訪ねた。

 一瞬で魅了された。健常者の介助を受けながら演技する四肢まひの選手。知的障害がある選手。自分と同じように足が不自由な選手。みんなが音楽に合わせて生き生きと演技していた。「私もやってみたい」。気付いたらそう口にしていた。

 3月に本格始動。県内には障害者シンクロのチームがないため、都内のチームの合宿に交ぜてもらったり、日本障害者シンクロナイズドスイミング協会の会長に直々に教えを乞うたりして、練習方法を学び、演技の基礎をたたき込んだ。

 とはいえ初心者。「技術では勝てない。私にしかできないオリジナルの要素を入れて楽しんでもらいたい」と、自作の曲を緩急あふれるシンクロ用にアレンジした。踊りもフィギュアスケートからアイドルグループのダンス、よさこいまでをインターネットの動画を参考に自ら考案した。

 今は単身で練習する日々。専用プールはなく、コーチや振付師もいない。すべてが手探りだ。それでも地元プールで練習していると他の利用者が応援してくれ、孤独を感じることはない。

 足を床に着けたり、介助を受けたりしても良い。障害の種類や程度に応じて誰でも楽しめるのが魅力だ。「脚が痛いはずなのに、シンクロをやっていると痛みを忘れるくらい」と笑う。

 全国大会は14日に京都市で開かれる。演技の厳格さよりも見て楽しむフェスティバルだ。「音楽ライブのように、観客のみんなに盛り上がってもらえるような演技をしたい」と佐々木さん。「もっと上達し、私を見て競技を始めたいと思ってくれる人が出てきたらうれしい」


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