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横浜・夫婦デュオのハンバーガーソング好評、全国165店巡り渡米も/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年11月30日 23:45

オリジナルの「ハンバーガーソング」を手に、横浜から全国を駆け回った。日本一ハンバーガーを愛する音楽デュオを自任する「スリーピーヘッドジェイミー」は、47都道府県のハンバーガー屋さんを巡るツアーを先月終えた。荒唐無稽にも思える試みは、「音楽で生きていくこと」に向き合ってきた2人が出した答えでもある。

ギターとベースの間に、大きな期待と少しの不安を載せてキャンピングカーを走らせた。2012年秋から延べ400日。横浜市港北区のわが家を離れ、北海道から沖縄まで車中泊の日々。3カ月の長旅も、財布が盗まれたこともあった。銭湯がなければ、冷水で体を洗った。

すべては、ハンバーガーソングを届けるために-。

〈あのいとしくて憎いやつ どんな風にだって僕を太らせる でもカロリーなんて言葉辞書にないぜ 今夜はないぜ〉(一部和訳)

肉の塊をパンで挟む。相棒はポテトとコーラ。気を抜けば太る。でもみんな、本当は好きなんでしょ。全国165店舗を巡って歌い、そして食べ、思いは深まった。

もとは4人組バンドだった。10年から、ボーカル・ギターのすわだいすけさん(33)とベース・コーラスの伊澤ゆくさん(31)の夫婦2人になった。

「2人だとライブハウスで映えなくて、バーやカフェで演奏するようになった。ハンバーガーを出す店が多くて、もともと自分が好きだったこともあって、自然と歌ができた」。作詞作曲はすわさんの担当だ。

この歌を機に全国18カ所の店を回ると、反応がよかった。すわさんは「もしかしたらこれでアルバイトをせず、音楽だけで暮らしていけるかもと思った」。

ハンバーガーを歌う人なんていない。集客やにぎやかしにつながり、店も面白がってくれる。ライブハウスは出演料がかかって赤字になることも多いが、その心配もない。

「新しいマーケット、手法にできると思った」とすわさん。CDなどの物販に加え、終了後には投げ銭をお願いして回る。「いわゆるかっこいいアーティスト」じゃなくてもいい。「でもその結果、契約書に『音楽家』と書いて家を借りることができた。世間に認められた気がした」と伊澤さん。念願だった。

2人が会ってから約10年。才能があるのに諦めた、挫折した、楽器を置いた仲間をどれほど見てきただろう。

すわさんは言う。「自分はもう33歳。いつまでも『一発当ててビッグになる』という夢に頼る虚無感はきつい。アーティストとして生きていくのに、そんな狭い道しかないのもおかしい。だけど続けている限り、大きなチャンスが巡ってくるかもしれない」

だから、ツアー中は3食のうち1食は野菜ジュースだけにするなど、体形には気を配る。「ハンバーガーで太った2人が歌えばコミカルで受けるかもしれないが、他の歌が響かなくなる」。プロとして真摯(しんし)に歌と向き合ってきた自負。11月22日からは米国に渡り、「本場」で可能性を探る旅に出ている。

他の楽曲も、どれも前向きで優しい。「どうにかなるさ」の楽観も、どうにかしてきた2人が歌うからこそ、聞き手に届く。

「GET UP&STAND UP」は歌う。

〈諦めなんてしない 雨が降りまた晴れるように いつまでも何度でも〉

つなぎ合う手と手には、肉厚でジューシーな夢がサンドされている。2人のハンバーガーだ。

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