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マンション住民ら、ネットで交流 横浜で地域サイト「マチコエ!」

社会 神奈川新聞  2013年08月23日 16:31

「ネット上の地域コミュニティーを全国に広げたい」と語るマチコエの梶谷社長
「ネット上の地域コミュニティーを全国に広げたい」と語るマチコエの梶谷社長

横浜の湾岸エリアを中心に約100棟の投資用マンション「グリフィン・シリーズ」を手掛ける陽光都市開発(横浜市西区)と、ヤフー出身者が立ち上げたベンチャー企業「マチコエ」(東京都渋谷区)が、居住者の満足度を高める試みを始めた。単身者向けマンションの居住者同士が口コミ情報やフリーマーケットなどで交流し災害時の情報交換の場にもなるコミュニティーサイト「グリフィン・サロン」を今年1月に開設。8月からは、マンション単位のサロンをさらに発展させ、みなとみらい(MM)線沿線の住民らを対象にした無料会員制コミュニティーサイト「マチコエ!駅サロン」(http://machikoe.com)もスタートさせた。

グリフィン・サロンは、グリフィン・シリーズのうち、MM線の馬車道駅~元町・中華街駅に建つ7棟(計383戸)を対象に始めた。現在は2割弱の住民が無料で会員登録し、参加している。サイトには、各マンション周辺の半径3キロのエリアの生活情報を、マチコエのスタッフらが取材して提供しているほか、参加住民が日々、新しい情報や写真をアップ。近隣の飲食店をはじめ、病院やドラッグストア、コンビニ、エステなどのほか、学校や保育園、銀行などを利用した際の声が投稿されている。マンションの住み心地など感想もある。

「大桟橋で虹の写真が撮れた」といって投稿して盛り上がるなど住民同士の交流も始まっている。陽光都市開発によると、マンションに暮らしているのはほとんどが単身者で、男性が6~7割、女性が3~4割。地方から単身赴任できた30~40歳代で、周りに知人がいないケースも多いという。

同社の梶間友秀事業部長は「災害時に連絡を取り合える人が近所にできればいい。まずは居住者同士で気軽に話せるコミュニティーがあると感じてもらえれば」と話す。マンションごとの物件ガイドもあり、外部の人も閲覧可能。どんな部屋が空いているのかを大量の写真と動画で紹介し、内見に行かなくても入居を決める人もいるという。

同社がこうしたサービスに力を入れるのは、各地で人口減少が始まり、投資マンションなどの業界全体が、これまでの新規分譲による拡大方針から、入居率アップや居住者の囲い込みに転換し、部屋の設備向上などハード面だけでなく、ソフト面のサービス強化という方向に向かっているためだ。「居住者が快適でないと、オーナー方も投資しても意味がない」(梶間部長)と、居住者の満足度アップに以前から試行錯誤してきたところ、マチコエの梶谷勉社長から、今回のサービスのシステム開発や運営を請け負う提案があったという。梶谷社長は、ヤフー時代は広告関連の新規ビジネス開発などを手掛けていたが、今回のサービスを始めるために、昨秋独立。「元々、地域コミュニティーに興味があり、それをどうやってビジネスとして成り立たせるか」と考えていたという。

兵庫県明石市の出身。都内で暮らす中で、「近所の人を認識できない」不安があった。昨今、若者を中心にシェアハウスが流行っているのは「どこかで孤独を感じ、つながりを求めているからで、特に地方から出てきている人は、近所に気軽に相談できる人がいれば、災害時の安心感にもつながる」と語る。

高校生のときに阪神大震災を経験し、「世の中のために何かができる人でありたい」と思っていたはずなのに、東日本大震災が起こったときには、「何もできない自分がいた」。震災を機に、これまで温めていたビジネスの構想を、行動に移す決意をしたという。陽光都市開発に声を掛けたのは「新しいものを受け入れてくれる土地である横浜に、集中的に物件を出しているので、いろいろなことを試したかった」からだ。サロンはまだ実験段階で、今後反応を見て、全棟に広げていくかを判断する。さらに参加者を増やし活性化させるため、サロン内でフリーマーケットを始めるなど工夫を凝らしている。引っ越しで不要になった家具・家電や、引き出物でもらった食器などがサイトに出品され、住民同士が無料で交換する仕組みだ。

また、横浜の湾岸エリアに物件が集中している立地を生かし、サロンで参加者を募り、9月には近くの中華街で肉まんの作り方を学ぶイベントも企画。「これまでは、居住者と接するのはトラブルがあるときぐらいだった」(梶間部長)というが、こうした機会に居住者の生の声を聞きたいという。

今後は、「居住者同士が集える行きつけのバーができれば」と、ワインの会なども計画。会員になると、将来の住み替えの際の手数料が割引になるポイント制度もあり、参加を促している。

こうしたマンション単位のサロンを発展させて、8月からはMM線6駅の近隣約2万世帯を対象に、駅単位で住民らが交流するサイト「マチコエ!駅サロン」も始めた。梶谷社長は、災害時を想定し、「ツイッターやフェイスブックなどもあるが、対象の範囲が広すぎる。相談できる人が近くにいるという場を作れれば、存在価値がある。5年、10年かかるかもしれないが、ネット上に近隣のコミュニティーを作ることに、使命感を持って取り組みたい」と、このビジネスを全国に広げる夢を抱いている。

◆取材余話

「マチコエ!」を浸透させるためには、面白い地域情報が、どれだけ集まるかが鍵。昨秋ヤフーから独立した梶谷社長は36歳。自ら横浜の街を歩き続け、さまざまな情報を投稿している。陽光都市開発の社員も、自ら不要品をフリマに出すなど、サロンの盛り上げに必死だ。優良な口コミを投稿した会員には、500円分のTポイントを贈るキャンペーンも10月まで行っている。こうした取り組みが全国に広がることを楽しみにしている。

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スマートフォンやパソコンで、近隣住民と手軽に交流できる
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横浜の沿岸部に集中して建つグリフィン・シリーズ
横浜の沿岸部に集中して建つグリフィン・シリーズ

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