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ストーカー・DV対応専門部署 発足1カ月で事案集約770件

社会 神奈川新聞  2013年08月12日 23:29

 ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV=配偶者らからの暴力)、児童虐待などの事案に対応する県警の専門部署「人身安全事態対処プロジェクト」に県内54署から集約された事案が、発足から1カ月で約770件に上ることが12日、分かった。リーダーの牧智明理事官(54)は新組織のキーワードに、部署間の垣根を越えた「情報の一元化」と「迅速な対応」を挙げ、「困り苦しむ人の不安を解消するため、地道かつ緻密な努力を重ねたい」と語った。

 発足のきっかけは、5月に伊勢原市で起きた元夫による女性刺傷事件。隠しカメラのようなものが取り付けられた不審な自転車が事件の約1カ月前に女性の自宅近くで見つかったが、対応した署員から上司に報告されず、事態の切迫性を見逃した。

 同プロジェクトが新たに作成し、各署で試行運用を始めたのが「チェック表」だ。人身の安全に関わる可能性がある事案を広く対象にし、相談などを受けた署員が概要や被害者の希望を記入。生活安全課と刑事課のほか署幹部も内容を確認し、同プロジェクトに集約される仕組みで、切迫性を見極め、情報の伝達漏れを防ぐ狙いだ。

 牧理事官は「署全体で情報共有が図れ、判断ミスを防げる」と強調。1カ月で寄せられた約770件のうち、同プロジェクトが署に助言したり、捜査員を派遣したりした事案は約50件に上り、「現場の悩みに明確な答えを出すのもわれわれの役割」と指摘した。

 また、新組織は主に犯罪の予防や行政的役割を担う生活安全部と捜査を担当する刑事部を横断することで「部署の垣根を越えた情報共有がスムーズになり、相談者の安全確保がより迅速になった」と説明。発足当日、インターネットで知り合った少女の母親の携帯電話に脅迫する内容のメールを19回送信した男を、脅迫容疑で逮捕するなど成果も出ている。牧理事官は「逮捕後も加害者側に指導や警告を与えることで警戒の度合いや方法が変わる」とし、切れ目ない被害者支援を強化する姿勢を示した。

 高齢者や障害者らへの虐待事案も視野に入れる。牧理事官は「社会的弱者の人身安全に問題がある場合は対処する」と説明。一方で「行政手続きで対応できる場合は、それを優先するのが基本」と話し、引き続き行政機関と連携していく方針という。

 発足1カ月を振り返り、「当初は切迫性がなくても加害者側の気持ち次第で急展開する危険性がある。個別にどう対処すればいいか判断するのが難しい」としながらも、「困り苦しむ人たちの不安を解消したい」と話した。

 ◆人身安全事態対処プロジェクト 7月12日に生活安全部に新設された組織。ストーカーやDVを扱う子ども・女性安全対策室やストーカー対策室、児童虐待を扱う少年育成課、刑事部捜査1課から計65人が専従している。


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