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脱サラしてベーグル作り 地場野菜使い、子供向けに小型化し好評/相模原

社会 神奈川新聞  2013年08月12日 22:35

脱サラし、ベーグル販売に再起をかける戸澤さん=相模原市緑区のJR藤野駅前
脱サラし、ベーグル販売に再起をかける戸澤さん=相模原市緑区のJR藤野駅前

少し堅めのベーグルは、かめばかむほど地場野菜のうま味がにじみ出る。山あいの湖畔、相模原市緑区の日連地区で、戸沢淳さん(47)=相模原市緑区日連=は昨秋からベーグルの製造・販売を始めた。以前は厳しいノルマに追われる営業マン。生き急いだ過去と違う人生を歩もうと、再起を誓っている。

2011年夏。ある夢を見た。数日前、夏休みの長女のためにと知人が開く都内の教室で作ったベーグルの夢。小麦色のやや色の薄い、味付けのないプレーンの、それが現れた。

当時、家庭向けに食材を届ける会社で営業マンをしていた戸沢さん。リーマン・ショック以降、会社の業績は伸び悩み、社内の空気は荒(すさ)んでいた。「(購入の)はんこを押してもらうまで帰ってくるな」。上司の指示には押し売りまがいの言葉も交じった。

家族を養うためと日々続けた奮闘も限界だった。「転職」が脳裏にちらついた直後に見たその夢が、戸沢さんの背中を押した。

ベーグル専門なら競合は少ない。作り方や経営のノウハウは教室の知人に教えてもらえる。そう商機を見いだした。

「誰かの『ありがとう』に出合える営業が好きという原点に戻ろうと考えた」。その年の秋、会社を辞めた。

地元への愛着も、ベーグルに込めた。旧藤野町に妻と長女と移り住んだのは、相模原市と合併した翌年の08年。「町の催しに声をかけてもらったり、食材を分けてもらったりと温かく受け入れてくれた周囲の存在が本当にうれしかった」。感謝を形にしようと、カボチャやトマト、トウモロコシ、サツマイモと豊富な地場野菜を使うことにした。

野菜はペーストにするなどして生地に練り込む。100種以上あるレシピから、1日6種を焼く。「子どが食べやすいように」と通常より小さいサイズで、6個入り500円で、相模原市内のカフェや野菜直売所で販売している。

反響はじわりと広がった。「こんな使い方があるんだな」。自分の野菜が使われたベーグルをおいしそうに頬張る農家の男性。「野菜が嫌いな子どもがまた食べたいと言っておりまして」。そう笑顔で話す母親もいた。

広がる顧客の輪に、戸沢さんはこう手応えを感じている。「生き直すことに、遅いということはなかった。これからも自分らしい『営業』を続けていきたい」

問い合わせは、戸沢さん電話080(4516)5611。

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