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県広域農道「小田原-湯河原線」 整備遅れ進捗率6割、急傾斜地の工事難航/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年07月17日 23:54

県の広域営農団地農道「小田原-湯河原線」の整備事業はスタートから16年が経過した。当初、工期は10年程度と見込まれたが、進捗(しんちょく)率(2012年度末、事業費ベース)は約6割にとどまっている。急傾斜地での工事が難航していることがその理由という。経費も大幅に膨らみ、区間の変更も迫られている。

同事業は、県が主体となり、国の補助金を得て1996年度に着工。小田原市入生田から湯河原町鍛冶屋までの約17キロ、幅員7メートルの農道を開通させる。

進捗状況はこうだ。斜面を利用したミカンやキウイなどの生産地や植林地が点在する小田原市の早川と根府川、真鶴町の3カ所で計約6・9キロが完成、一部を供用している。

当初の計画では、総事業費は約143億円、完成は2005年度だった。しかし、例えば箱根外輪山の斜面を削って強固な擁壁を設置する工事が求められ、各所で対応を強いられたという。

■「再変更求めて」

完成は遅れ、事業費も300億円超に増大するとの試算も出され、03年度には国の補助事業の見直し・削減対象になった。その結果、小田原市江之浦から真鶴町境界までの約3・5キロが「他事業対応区間」とされ、事実上の休止扱いになった。

10年度、正式に計画変更の手続きが行われ、事業費192億円、完成予定18年度にそれぞれ見直された。

休止区間の対応としては、平行して走る県道740号を経由し農道をつなぐとの見方もあるが、地元は反発している。

県の県西地域県政総合センター広域農道課は「あくまで当初の計画通り全線の開通を目指したい。計画の再変更を求めて国と調整を続けている」と話している。

農道整備の目的は、農作物の集出荷作業の省力化、輸送コストの削減による農業振興にある。都市住民が訪れやすくなり、観光農園を新たに経営できる環境も整う。

■災害時の迂回路

また、海抜150~200メートル付近を通過するルートは、災害時にダメージを受ける恐れがある海沿いの国道135号の迂回(うかい)路としての役割も大きい。

中間点の根府川付近は、90年前の関東大震災で山津波が起きた。工事に際し山腹崩壊の影響で「地籍が不明確」な箇所も見つかり、遅延要因になっているという。

同課は「地形が険しく、現場までの進入路も狭い。重機が入れる場所が限定され、今後も工期の短縮は難しい」と説明している。

ただ関係者は、昨年末に自民党中心の政権に交代したことで、公共投資予算の増額に期待を寄せる。完成後、農道の維持管理費は、地元の小田原市と真鶴、湯河原両町の負担になる。

起点の小田原側から行くと、耕作放棄地も見掛ける丘陵地の先に、市が売却した「ヒルトン小田原リゾート&スパ」が現れる。農道の着工当時、「(前身の)保養施設へのアクセス道路」と目的を疑問視する声もあった。難工事となった農道整備の行方はまだ見えてこない。

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