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対象者から戸惑いも
受益者負担金徴収へ 海老名市下水道問題

政治行政 神奈川新聞  2017年04月22日 02:00

 下水道整備の際に土地所有者が支払う受益者負担金を海老名市が徴収していなかった問題が発覚し、間もなく2年。対象の土地が下水道を利用しない農地などの場合は支払いを猶予しているが、問題発覚を受けて市は現況を確認して精算作業に乗り出した。3千万円の徴収を目指すが、一般に5年とされる遡及(そきゅう)請求時効を経過した対象者からは戸惑いの声も上がっている。

 この問題は2015年6月、市内部の事務処理ミスやチェック体制の不備により、下水道使用料の徴収漏れとともに発覚。受益者負担金の徴収が猶予されてきた土地でも、下水道を利用する宅地などに転用されると猶予は消滅するが、市は猶予取り消し手続きを適切に行っていなかったことなども判明した。


3千万円を目標


 市下水道課によると、負担金の徴収猶予対象は969筆(猶予率は大半が8割)。このうち、宅地化などで土地利用が図られた289筆1910万円、分合筆などで元地番が消滅した125筆1090万円の計414筆3千万円が徴収可能と当面見込まれる。

 そこで市は16年10月、条例改正して現況確認を毎年実施することに変更。1~2月に所有者が分かっている481筆の209人に通知した。回答率は3月末時点で93%。

 残る488筆については売却などで徴収猶予の消滅が見込まれる土地。しかし、所有者が死亡したり、変更になったりして確認作業の難航が予想され、職員が個別に訪問、猶予の取り消しや支払い請求の対応を並行して進めている。

 同市の受益者負担金制度は1977年度にスタート。負担金の徴収方法は下水道整備の進捗(しんちょく)状況に合わせて条例規則で徴収猶予の規定も設けている。

 今回、対象者から「これまで何の連絡もなく、いきなり支払いを求められても」「代替わりして負担金が猶予されている話は知らない」など、戸惑いの声も聞かれるという。


時効扱い分かれ



 こうした声を受けて市議会3月定例会で、山口良樹市議が徴収権の時効の取り扱いについて市の判断の妥当性をただした。

 例えば、規定では田畑を宅地化した段階で徴収猶予は消滅するが、その起算点は自治体によって判断が分かれているためだ。判例により確定した解釈はないという。

 同市は消滅届提出により把握した時点を時効の起算点として今回、徴収に踏み切った。しかし、同様な問題が発覚した相模原市は、実態に合わせて宅地化された時点などを起算点としたため、時効で徴収ができないケースが多発した。

 海老名市下水道課は「時効の件を含めて職員が丁寧に説明して理解を得ていきたい。年度内に猶予分の回収を終えるよう努力していく」と話している。

受益者負担金 公共事業は通常、受益が広く住民に及ぶために税金で賄うが、下水道事業では敷設される地域の住民に利益が限定されるのでその一部を対象者に負担してもらう制度。都市計画法を根拠に徴収者の範囲や徴収方法は自治体条例で定める。海老名市の2015年度末の受益者負担率は3.6%、下水道普及率は95.7%。


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