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ホタルの里復活を、住民有志が幼虫放流/平塚

社会 神奈川新聞  2013年04月04日 13:10

ゲンジボタルの幼虫を放流する安池さん(左)ら有志メンバー=平塚市土屋
ゲンジボタルの幼虫を放流する安池さん(左)ら有志メンバー=平塚市土屋

「子どものころに見た数え切れないホタルの光景を再現し次世代に伝えたい」。平塚市土屋地区で住民有志が、ホタルの里の復活に取り組んでいる。元会社員安池春敏さん(71)ら14人は3月、無農薬で畑作をしている地権者の男性(76)の協力を得て、湧水にゲンジボタルの幼虫を放流した。養殖にも取り組み、来年以降は放流を増やす計画だ。地権者も「懐かしい風景を取り戻し、孫たちに見せたい」と目を輝かせている。

平塚市の最西部に位置する土屋地区は、丘陵や谷戸(やと)が連なり湧水も多く、自然豊かな地域だ。ただ、定年退職し3年前に約50年ぶりに古里に戻ってきた安池さんは、自然の大きな変化に驚いた。中でも、ホタルの激減には落胆したという。

「土屋のホタルはものすごい光景でした。歩きながら手づかみできる。うちわで捕まえ、蚊帳に入れて光を楽しみました」。少年時代を振り返りながら地域の湧水や小川を歩き、ホタルを探し回る日々が続いた。

そして今年、見つけたのが、地権者の畑の水路だった。湧水からの流れにはタニシが多くいた。ホタルが増えるのを願い、無農薬で農業に取り組んでいたからだ。放流の提案をすると、すぐさま意気投合した。

「子どものころはメダカもドジョウもホタルもいっぱいいた」と地権者。「昭和30年代ごろ、ヘリコプターで農薬の空中散布をしていた。それ以来、ホタルもほとんど見られなくなった。昔の光景を孫たちに見せたい」と痛切に語る。

放流には「座禅川をキレイにする会」の杉山昇会長(77)ら友人も協力を申し出た。また、「親水公園ホタル保存会」の米村康信代表(67)=北金目=が土屋で採取し自宅で養殖していたゲンジボタルの幼虫の一部を「里帰り」させてくれることになった。

3月には2回、有志が地権者の水路に集まり、米村さんの指導で幼虫計約160匹を放流した。「一度いなくなると再生は難しい。農薬に生活排水、水路のコンクリート化や街灯も影響します」と米村さん。水路に石を配置するなど周辺の環境整備も行った。

キレイにする会は来年、発足10周年。杉山さんは「記念事業としてホタルの里づくりを会員に提案したい」と活動の輪を広げたいという。安池さんは放流数を増やすため自宅で養殖に挑戦する。地元小学校に観察会の提案もした。

「子どもたちが自然に関心を持つきっかけになれば」。有志たちは古里の再生と次世代への継承に情熱を燃やしている。

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