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県立近代美術館集約化で「鎌倉館」廃止方針、貴重な建築の扱いに苦慮/神奈川

神奈川新聞  2013年03月25日 00:05

県立近代美術館鎌倉館の正面
県立近代美術館鎌倉館の正面

県の緊急財政対策の一環で、3館の集約を含めた検討が行われている県立近代美術館。特に鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下)の敷地に立つ鎌倉館は土地の貸借契約が2016年3月31日で切れる。県は契約更新しない方針のため、事実上、同日での閉館が決まる。日本の近代建築史において価値ある建物をどうするべきか、関係者は頭を悩ませている。

県教育委員会教育局生涯学習部生涯学習課によると、1951年の美術館設立当初から、土地の貸借期間は2016年3月31日までとしており、返還時には更地にすることが、八幡宮と交わした契約書に明記されていたという。松沢成文前知事のころから契約更新はしない方針で進んできた。今回の3館集約は、これを前提にしたものといえる。

鎌倉館は日本初の公立近代美術館で、世界的な建築家ル・コルビュジエの弟子に当たる故坂倉準三さんが設計。1999年には、20世紀の近代建築を評価し保存を訴える国際機関DOCOMOMO日本支部が、日本近代建築20選に選ぶなど、日本のモダニズム建築を代表する建物といわれる。

66年に同じ坂倉さんの設計で隣接して新館が増築されたが、耐震強度に問題があるとして2007年から閉鎖中だ。1984年7月には、故大高正人さんの設計で鎌倉別館が完成。大型化する展覧会への対応から、2003年に葉山館(葉山町)が開館しており、県は鎌倉館閉鎖によって所蔵品の収蔵スペースを含め、美術館活動に弊害が出る恐れはないとみている。

鎌倉館の近代建築としての価値は県も八幡宮も理解しており、「誰もが納得できる着地点を探して、話し合いを進めている」(生涯学習課)という。八幡宮が建物の再利用を決めれば、建物自体が取り壊されることはないが、利用目的に合わせた改修工事が必要となる。工事の規模とその費用をどうするかが大きな問題で、なかなか決着がつかない状況だ。

一方で八幡宮一帯は昭和40年代に国が指定する史跡となっており、文化庁が定める文化財保護法によって守られている。何らかの工事を行うには国の許可が必要だ。県によると、建物の地下1メートルほどには遺跡が埋まっており、改修工事や取り壊し作業は、遺跡を傷つけずに行わなければならない。一部には果たして近代建築が史跡に立っていていいのかという声もあり、解決を難しくしている。

◆県立近代美術館3館の集約化 財政難打開に向け県緊急財政対策本部が2012年9月に発表。ことし2月に示したロードマップで鎌倉館は15年度末に廃止し、機能を葉山館と鎌倉別館に集約する方向性を明確にした。

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鎌倉館1階のテラスは池に張り出し、開放感のある空間となっている=2012年5月
鎌倉館1階のテラスは池に張り出し、開放感のある空間となっている=2012年5月

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