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原発事故から6年
ふくしまっ子in湘南<中> 矛盾を抱えた生活

話題 神奈川新聞  2017年04月14日 15:33

キャンプ初日には、福島の親子の歓迎会が開催された=日本大学湘南キャンパス
キャンプ初日には、福島の親子の歓迎会が開催された=日本大学湘南キャンパス

 前夜の交流会のことが胸に引っ掛かっていた。

 3月30日、藤沢市亀井野の日本大学湘南キャンパス。福島県に住む子どもたちや保護者を対象に催している保養キャンプ「ふくしまっ子 リフレッシュin湘南」に参加している母親ら14人が、それぞれの不安や悩みを打ち明け合った。「引っ掛かり」を感じていたのは、相馬市の女性(37)だ。

 「子どもを被ばくから守ろうと食べ物に気を付けたり、外遊びを制限したり…。周りのお母さんたちの話を聞いて、少し落ち込んでしまいました。私はそこまで頑張れていないなあ、って」

 東京電力福島第1原発事故からの6年間、女性は家族と相馬市内で暮らしている。第1原発から約40キロ。避難指示区域に入っていなかったが、原発事故直後は自主避難も考えたという。当時、長男は7歳、長女は5歳だった。

 「インターネットで調べました。でも、何が正解か分からなくて…」

 夫は金属加工会社を経営する。工場は事故の1年前に建てたばかりだった。

 「お金があったら、より安全な場所を求めて福島県外に引っ越してました。それができない以上、相馬市で暮らすしかない。ならば、せめて内部被ばくだけでも防ぎたい、体内に入れるものを選びたいと」

 水道水は飲まず、野菜は福島県外産を買う。「スーパーに行くと、県産の野菜は県外産に比べてすごく安い。すべて放射線量を検査していると聞くけれど検査基準に問題はないのかな、と気になって」。米も北海道や新潟産を使っている。

 「3年前くらいかな、息子が通う小学校から『給食に相馬市産のお米を食べさせますか』というアンケートが来ました。全部の保護者に。ほとんどの保護者が『食べさせる』と回答して相馬市産の米が給食で使われることになりました。嫌な人はお米を自宅から持ってきてください、と」

 長男と長女には最初、自宅で炊いたご飯を持たせていたが、長男は中学生になると、周囲との違いを嫌がり、ご飯を持参しなくなった。「仕方ないなって。目立つのが嫌な気持ちも分かるから」

 以前は控えていた子どもの外遊びも制限していない。事故後に生まれた次男(4)は屋外を元気に駆け回っている。

 「(内部)被ばくを避けたいから食べ物にこだわり続けているけれど、外遊びはさせている。矛盾していると自分でも思います。無駄な抵抗しているな、とも。おかしいって思うでしょう。自分でも分かっているんです。矛盾の中で生きているって。でも、どうしたらいいのか分からないんです」


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