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原発事故から6年
ふくしまっ子in湘南<上> 物言えぬ息苦しさ

話題 神奈川新聞  2017年04月13日 11:34

保養キャンプで元気に遊ぶ福島の子どもたち=藤沢市亀井野の日本大学湘南キャンパス
保養キャンプで元気に遊ぶ福島の子どもたち=藤沢市亀井野の日本大学湘南キャンパス

 頭上の桜は三分咲きだ。花見には少し早い。それでも福島市の女性(70)は心が華やいだ。「ほっとします。息苦しさから解放されるようで…」

 3月下旬、藤沢市亀井野の日本大学湘南キャンパス。校舎裏の農場では、12歳と6歳の孫たちがけん玉遊びに夢中になっていた。

 東京電力福島第1原発事故から6年。この間、放射線量の高い福島で暮らす児童らを対象にした保養キャンプが福島県外で多く開かれてきた。

 藤沢市の市民団体「福島の子どもたちとともに・湘南の会」が催している「ふくしまっ子 リフレッシュin湘南」も、その一つ。「思いっきり外で遊んでもらい、心身ともに元気になってほしい」(青柳節子代表)。そんな思いで2012年7月から年2回の頻度で開催し、参加人数は延べ327人に上る。

 女性が藤沢を訪れるのは昨年夏に続いて2回目。これまでも埼玉や神奈川県内のキャンプに毎年足を運んできた。「孫たちの両親は共働きでなかなか休みが取れないのですが『少しでも放射線量の低い所で過ごさせたい』という強い希望があって…。孫たちの夏休みと春休みに、一緒に県外へ出ています」

 自宅は福島第1原発から約60キロの距離にある。「避難指示区域」には入っていなかったが、事故直後は屋内でも毎時2・0マイクロシーベルトを記録した。政府が目標とする被ばく線量の毎時0・23マイクロシーベルトの9倍近い値だった。

 「自宅の周りの放射線量はだいぶ下がりましたが、それでも神奈川の10倍近く。孫たちを少しでも遠ざけたい気持ちは変わりません」。ただ、こう付け加えた。「福島で『保養に行く』とはもう口にしない」

 いつの頃からか、周囲に言いづらい雰囲気を感じるようになった。「遠方に避難して帰ってこない友人もいるし、『まだ放射能のことなんか気にしているの』と言う知人もいます。それぞれの考えは平行線で交わらない。お互いに否定されることが分かっているから」

 政府は3月31日と4月1日に帰還困難区域を除き避難指示を解除し、3月末には自主避難者に対する住宅の無償提供も打ち切った。地元では、原発事故のことを話題にあげる人はほとんどいないという。

 「友人同士でも、思っていることを正直に言わなくなりました。私も不安な気持ちを口にすることはありません。でも、やっぱり息苦しいんです。キャンプに来て福島のお母さんや藤沢市の皆さんと話していると、ほっとします。周囲の目を気にしなくていいんだ、自分の気持ちを分かってくれる人がいるんだな、って」

◇ 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から6年がたったが、藤沢市内で続いている「保養キャンプ」には今も多数の人が参加する。抱えている思いをつづる。


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