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長興山紹太寺、江戸時代から愛されるしだれ桜がクローンで命継ぐ/小田原

社会 神奈川新聞  2013年02月18日 18:13

長興山紹太寺の「しだれ桜」=2011年自社撮影
長興山紹太寺の「しだれ桜」=2011年自社撮影

江戸時代から優美な姿で広く親しまれてきた長興山紹太寺(小田原市入生田、武内徳昭住職)のしだれ桜から培養されたクローンの苗木たちが、境内や市内の公園で命を継ぐことになった。近年樹勢が衰えていたが、次世代に残そうという取り組みが10年の苦労の末成功。縁深い仙台市の寺への“株分け”も検討しており、「東日本大震災で被災した人の安らぎにもなれば」と期待している。

同寺は、江戸時代初期に小田原藩主だった稲葉家の菩提(ぼだい)寺。しだれ桜は1669年、3代将軍徳川家光の乳母・春日局の孫にあたる藩主の稲葉正則が、父母や祖母を弔うために植えたとも伝わる。

桜は高さ約13メートル、株元周囲約4・7メートルの大木に成長し、満開になると花が滝のように垂れ下がる姿で愛されている。小田原市の天然記念物や、「かながわ名木100選」にも名を連ねる。しかし近年樹勢が弱っており、「今の科学技術で可能なら残したい」(武内住職)と増殖に踏み切った。

技術提供を名乗り出た住友林業筑波研究所(茨城県)が本格的に取り組みを開始したのが2003年。冬芽の先端組織を、培養液で培養するなどして増殖させた。しだれ桜の増殖には技術的な先例はあったが、効果的な培養液の調合や、樹齢が高く芽の成長に時間がかかったことなど苦心を重ね、09年にクローン苗の増殖に成功した。

同研究所では昨年、鎌倉・安国論寺にある「妙法桜」の後継樹を、同様の手法で増殖することに成功。11年には、東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の松ぼっくりから種を探し出し、苗を確保している。

しだれ桜の苗木のうち、高さ約3・3メートルに育った苗木が小田原市に贈られ、14日に小田原こどもの森公園わんぱくらんど(同市久野)に植樹。早ければ来年春にも開花が見込まれるという。武内住職とともに植樹作業を行った加藤憲一市長は、「長くこの地域を見守ってきた桜の子どもが、今後何百年と命の喜びを伝えるだろう。子々孫々育てていってほしい」と話した。

紹太寺境内にも別の苗木が植えられた。また、正則の娘が嫁いだ伊達綱村の菩提寺・大年寺(仙台市)では、武内住職の弟邦生さんが住職を務める縁があり、ここにも苗木を植えることを検討している。

武内住職は、「人間が温かく見守って桜が成長すると、その周りに自然と人が集うようになる。被災した仙台の人々の安らぎになれば」と話している。

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