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夜間救助訓練同行ルポ、悪条件そろう冬の登山「保温、装備怠りなく」/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年02月16日 11:39

山肌の雪景や草木の芽吹きなど景色の美しさの一方、積雪期ならではの危険も多い冬山。北丹沢を管内に持つ津久井消防署はこの時期の遭難を警戒し、3年前から夜間救助訓練を行う。13日に始まった今年の訓練に一部同行、冬の山登りの注意点を聞いた。

日が落ち始めた午後5時すぎ。相模原市緑区の松茸山(標高584メートル)の山麓に集まった署員30人は沢渡りを前に、靴の浸水対策のため足元をポリ袋で2重に覆っていた。

「沢渡りや雪道の歩行で靴が浸水するとぬれた部分から熱を奪われ、最悪、凍傷で歩けなくなる。水ぬれは厳禁です」。そう話すのは、同署山岳救助隊の佐野幾哉隊長だ。

「冬季はとにかく体温維持が大事。首や手首、足首と表面に太い血管が通る部位は特に保温を心掛けてほしい」と念を押す。発汗にも備え、着替え用の下着も必要という。

沢渡り後、取り組んだのがビバークと呼ばれる緊急避難のための野営訓練。日没の早さや低気温のほか、落ち葉で覆われた登山道で方角を誤ったり、雪道で体力を奪われたりと悪条件がそろう冬山。救助のプロでもビバークの知識は欠かせないのだという。

佐野隊長は「登山道が整備された山でも下山できると思わず、簡易テントなど緊急避難の装備を必ず携帯を」と呼び掛ける。また足がつったりする症状を防ぐため、「寒さで怠りがちな水分や栄養の補給も忘れないで」と話す。

周囲がほぼ闇に包まれた同6時に松茸山に入山。程なくして佐野隊長は運動靴姿の記者に「雪にぬれた夜の山道は滑落の危険が高まります」と下山を促した。転倒で体を支えようと手を突き、手首や腕を骨折するケースが多いことや、滑り防止にはアイゼンと呼ばれる金属の爪を靴底に取り付けるのが必要と諭された。

山頂を目指す署員たちの背中を見送った記者。急きょの下山に一部署員が付き添ってくれたが、引き返す間、何度も足をとられそうになった。暗闇の心細さに急ぎ足となったからだ。

夜間対策として両手が自由になるヘッドランプ、予備の電池と電池交換の際に常時点灯できる別の電灯が便利、と下山をともにした署員が付け加えてくれた。

◆相模原市内の山岳遭難 過去10年の年平均は約10件。2009年以降、2桁の状態が続く。12年は12件で、登山道を滑落した男性が死亡する事故もあった。市消防局によると、最低気温が10度を下回る10月から翌年5月までの「冬季」の発生が半数を超えており、時間帯は正午から日没までの間が最多。

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