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歴史まちづくり法5年、建物保存が岐路/小田原

社会 神奈川新聞  2013年01月20日 10:45

住民が支援して公開が始まった「内野家住宅」=小田原市板橋
住民が支援して公開が始まった「内野家住宅」=小田原市板橋

小田原市内には八十数件の歴史的建造物がある。ただ、多くの所有者が維持管理や保存の問題に直面している。改善を図ろうと、文化財保護行政に景観など新たな視点を取り入れた「歴史まちづくり法」が制定されて5年。その取り組みの効果が問われている。

交通の要衝にあった小田原は東海道の宿場町、戦国期は北条氏の城下町として発展。明治期に入り温暖な気候や風光の明媚(めいび)さから保養地として注目を集め、多くの政財界人や文化人が別荘や別邸を構えた。

その中心地は小田原城址公園と旧東海道に面する板橋地区の周辺。歴史的建造物もこのエリアに集中しているのが特徴だ。

市文化財課によると、県と市の指定文化財6件、国登録有形文化財15件、「小田原ゆかりの優れた建造物」4件など、保存制度に位置付けられている建物は36件に上っている。

このほか「小田原の建造物」や「ふるさと小田原の建築100景」など歴史的・文化的に評価の高い建物も選定してきた。

こうした歴史的建造物と、そこで営まれてきた伝統工芸や祭礼行事、情緒ある町並みなどを広く含めた環境を「歴史的風致」と定義して保存する動きが各地で本格化している。

歴史まちづくり法制定の背景には、建物の所有者が高齢化、費用と手間のかかる維持管理が困難になり、姿を消すケースが目立ち始めたことがある。

市内では保存制度の対象建物のうち、民間所有が30件で、市所有は6件にとどまっている。市は修復費などを補助しているが、手入れや固定資産税の支払いなど民間所有者の負担軽減には至っていないのが現状だ。

昨年は民間で具体的な動きがあった。「内野家住宅」(板橋)では、住民支援で保存に向けたモデル的な取り組みがスタート。割烹(かっぽう)旅館「山月」(同)は休業して売却交渉が長期化。「瓜生坂」(南町)では宅地開発に伴って当時の石垣が撤去される計画が明らかになった。

歴史まちづくり法を受けて、市は「歴史的風致維持向上計画」(2011~20年度)を策定。未指定の歴史的建造物の調査や市民との協働による保存・活用法の検討を進めている。

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