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光の芸術で癒やしを 川崎の加藤さん、ステンドグラス手掛け30年/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年01月09日 11:48

「癒やしの空間をつくりたい」と話す加藤眞理さん=川崎市多摩区
「癒やしの空間をつくりたい」と話す加藤眞理さん=川崎市多摩区

自然の鉱物が太陽の光を受け、織りなす色の世界。そんなステンドグラスの魅力にひかれ、30年以上にわたって制作を続ける男性がいる。川崎市多摩区の加藤眞理(まこと)さん(58)。繊細で緻密な絵を描くため、「使う職人はほとんどいない」という特殊な技法を駆使し、昨年11月には同市から「マイスター(名人)」の称号を贈られた。「これからも癒やしの空間をつくりたい」と意欲をみせる。

出合いは11歳の時だった。当時通っていた耳鼻咽喉科。洋館の待合室にあったステンドグラスは、光の当たり方や季節によって、その表情を幾千にも変えた。「子どもながらに『これは面白いな、すごいな』と思った」と振り返る。

中世ヨーロッパでは読み書きができない人にとって、聖書でもあったというステンドグラス。自ら「デザインの原点」と話すのは、幼少のころの思い出だ。絵が好きで、一人で山に入っては風景を描き続けた。太陽の光が差し込むと、森の中が虹色に変化したのを覚えているという。「茶や緑だけじゃない、いろんな色があるんだなと。外からは想像できない世界が広がっていた」

サラリーマンなどを経て26歳の時、「ステンドグラス界の第一人者」とも言われる今野満利子さんに師事。制作の基礎をたたき込み、7年後には、ついに自らの工房である「葛籠屋(つづらや)工房」を同市内に設立した。

ステンドグラスを「永遠に変貌する光の芸術」と話す加藤さん。作業では繊細で緻密な絵を描くため、フッ化水素酸という薬品を使う。ガラスの色を落とすことで微妙な陰影を施し、模様やグラデーションを表現。危険な上、薬品の塗り方一つで作品の印象が大きく変わる難しい技法だが、「グラデーションを付けられるので、色ガラスがより柔らかく感じられる」と話す。

これまで、国内最大級の240平方メートルのものから住宅用に至るまで、多くの作品を手掛けた。大手ハンバーガーチェーンの広告で使われたこともある。昨年11月には、優れた技術や技能を持つものづくりの達人を市が認定する「かわさきマイスター」にも選ばれた。墓石にステンドグラスを装飾するなど、「売れる商品作り」を目指し、新たな展開も模索中だ。

「技術的にもデザイン的にも、一年一年上達している自分がいる。まだまだ完璧じゃない。今後はステンドグラスの魅力を知ってもらえるよう、いろんなことにも挑戦していきたい」

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