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岐路立つ歴史的建造物 小田原・国文化財の割烹旅館が休業半年、活用法は…?/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年01月05日 10:54

休業前の「山月」
休業前の「山月」

小田原市板橋の割烹(かっぽう)旅館「山月」が休業して半年余が経過した。この建物は実業家・大倉喜八郎(1837~1928年)が大正期に築いた「共壽亭」跡で国登録有形文化財にもなっている。所有者は売却先を探しているが、今後の活用法はまだ決まっていない。

大倉は戊辰戦争で鉄砲商として財をなし、帝国ホテルに出資するなど大倉財閥を築いた。1920年、政財界の要人が別荘などを構えた板橋の高台に、別邸・共壽亭を建てた。

木造2階建て(延べ床面積937平方メートル)の室内には、交流のあった大久保利通や伊藤博文らの書がある床の間、鎌倉時代を題材にした軍記物語「曽我物語」にちなんだ優雅な透かしのある天井などがある。建物は関東大震災にも耐えた。

建物は戦後売却され、割烹旅館「山月」として営業していたが、赤字経営などで2012年6月に休業。1万平方メートル余に及ぶ広い敷地にある庭園は、散策に訪れる市民にも公開されていた。

建物を所有する都内の業者によれば、現状を維持したまま有効活用してもらえる購入者を探しているという。

旧東海道に面する板橋周辺は、こうした歴史的建造物が数多く点在。市は文化財に指定するなどして保存に努めている。しかし、民間所有者の負担は大きく、限られた公的支援の中、維持管理が年々難しくなっているのが現状だ。

市内にある国登録有形文化財は、市所有の「清閑亭」(南町)などを含めて15件。市文化財課は「山月の売却に関しては、所有者から相談があり推移を見守っている。何件か問い合わせはあるが、購入に向けた具体的な話には至っていないようだ」と話している。

長期の閉鎖状態に訪れた市民も心配顔。関係者は岐路に立つ貴重な歴史的建造物の行方を注視している。

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休業が続く「山月」=小田原市板橋
休業が続く「山月」=小田原市板橋

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