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八景島沖で外来種・ロブスター漁獲、専門家「聞いたことない」

社会 神奈川新聞  2012年09月06日 11:36

東京湾で漁獲されたアメリカウミザリガニ(県水産技術センター提供)
東京湾で漁獲されたアメリカウミザリガニ(県水産技術センター提供)

高級食材「アメリカンロブスター」として知られる外来種アメリカウミザリガニが今夏、東京湾で漁獲されたことが分かった。東京湾での正式な確認は初めてとみられ、全国的にも数例しか記録が残っていない。生態系への影響も考えられることから、専門家は「注意深く観察していく必要がある」と指摘している。

見つかった個体は体長約30センチで、重さ約1・2キロ。7月15日、東京湾の八景島沖で操業していた横浜市漁業協同組合柴支所(同市金沢区)の底引き網漁船が水深約40~50メートルの海底で漁獲した。捕まえた森田重則さんは「26年以上漁をしているが初めて」と驚く。漁協に出入りする業者が気づいて県水産技術センター(三浦市)に持ち込まれ、正式に確認された。同漁協柴支所によると、過去1年以内にもアメリカウミザリガニとみられる今回より小さな個体が揚がったというが、正式に確認されたのは初めてとみられる。個体はその後、横須賀市自然・人文博物館に寄贈され、標本となった。

大西洋に生息するアメリカウミザリガニは国内に主に食用として輸入され、流通している。『ザリガニの博物誌』などの著書がある農学博士の川井唯史さんは「東京湾での漁獲は聞いたことがない。大西洋に生息するアメリカウミザリガニが自ら太平洋まで移動したとは考えられず、成体になる前の幼生の期間は1カ月ほどと短いため、海流に乗って運ばれるのも難しいだろう」と指摘。「周辺に養殖施設もなく、食用として輸入されたものが何らかの理由で放流されたのでは」と推測する。

今回の個体を確認した県水産技術センターの工藤孝浩主任研究員は「外航船が多く行き交う東京湾で見つかったことは興味深い」と話し、故意の放流のほかに外航船の船底などに幼生が付着した可能性を挙げる。

学術誌に投稿された論文では、1990年12月に相模湾の大磯沖で漁獲された例が報告されている。以後、岩手県の三陸沖、徳島県の太平洋沿岸でも発見。研究者の間では相模湾や三陸沖の例は、当時付近にあった養殖施設や大学の研究に用いられたものが逃げ出した可能性が指摘されていた。

工藤さんは「水産的には価値があるものの、大型で雑食なため、多数見つかった場合は周囲の生態系への影響が考えられる。東京湾ではすでに多くの外来生物が見つかっているがこれほど大型のものはなく、今後も注意しておく必要がある」と話している。

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