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ロンドン五輪:競泳男子200メートル平泳ぎで、藤沢市出身の立石「銅」

スポーツ 神奈川新聞  2012年08月02日 23:22

1日に行われたロンドン五輪の競泳男子200メートル平泳ぎ決勝で、藤沢市出身の立石諒(23)=NECグリーン、湘南工大付高―慶大=が2分8秒29で銅メダルを獲得した。一度は引退を考えるほどの挫折を乗り越え、初出場の舞台でメダリストに輝いた。

極限まで五感を研ぎ澄ませた世界には、己しかすまわない。プールに向かって一礼した立石は、栄光へと続く水面をにらんだ。

「ここまで来たら緊張することなど何もない」。課題に据えていたスタートをここぞと完璧に決めた―。

藤沢一中卒業後に、水泳の名門・湘南工大付高に進学。当時はまだ小さく、全国中学大会制覇の猛者が集う同学年の中で目立たない存在だった。ただ、トップスイマーに欠かせない感性は備えていた。高校2年の国体で北島康介(29)が持つ高校記録を破り、一躍脚光を浴びた。

最大の壁は4年前。北京五輪の代表選考会に敗れたその後、現状を打破すべく新たな所属クラブ探しを試みた。最初に願い出たのは、当時北島を指導していた平井伯昌コーチ(現日本代表ヘッドコーチ)。だが同コーチにとって、北島のライバルになる立石を教えるわけにはいかない。

「今思えば、あのころは青かったですね」

今でこそ笑えるが、同コーチにやんわり断られた後も移籍先は見つからなかった。周囲は、世界に、王者北島に、手を伸ばす才能の扱いを怖がっていた。

自身が書きためた練習ノートをひもとき、約8カ月間、1人でトレーニングした。「自分の願いがかなわないなら、やめよう。大学を卒業して普通に働こうかな」。一度は引退を口にした。孤独を深めていた。

救ってくれたのが高校時代の恩師、堀川博美元水泳部監督(64)だった。親身になって奔走し、現所属クラブに引き合わせてくれた。やっと大切なことに気付いた。周囲の支えがあって今の自分がいる。「本当の感謝という意味を知った僕は強いですよ」。心身ともに成長して迎えた大一番は、本当に強かった。

前半は力を蓄えるようにペースを抑えて我慢し、トップを追走する展開のラスト50メートル。「メダルは取れなくていい。とにかく自分らしく。死ぬ気で泳いでいた」。北島との差はわずか0秒06。電光掲示板で順位を確認すると、何度も、何度も、拳で水面をたたいてほえた。

幾多の試練と緊張から解放された表彰台。首から下げた銅メダルは「いろんなものが詰まっていたから重たかったですね」と屈託なく笑った。

立石は言う。「一番は、両親に支えられた。つらい時も僕の思った通りにやらせてくれた」。最後のひとかきまで耐えて粘った一世一代の力泳は、歩んできた23年余の人生そのものだ。万感の思いが胸に込み上げる。すべてが報われた。

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